株式レポート
9月6日 18時0分
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消費増税と減税メニュー - 村上尚己「エコノミックレポート」

・本日(9月6日)の日経新聞5面には、「消費増税前、減税ずらり 来年度の税制改正要望」という記事が掲載されている。8月13日レポートで、消費増税前の駆け込み需要で2013年度に日本のGDP成長率が一時的に約+1%押し上げられ、その後2014年度にその反動減などで成長率が低下することを説明した(グラフ参照)。


・この消費増税がもたらす景気変動を和らげるための対応策として、消費増税の影響が大きい自動車や住宅などについて、今後の税制変更で対処するということである。まだ具体的な内容が固まっておらず、現段階の素案だけで影響を判断するのは難しいが、今後の日本経済の行方を考える上で重要なので、以下で整理したい。

・まず、自動車取得税の廃止である。消費税との二重課税の問題が指摘されていた自動車購入時にかかる税金で、取得価格の5%(軽自動車は3%)課せられる。「取得価格」と「購入価格」が異なるなど個別のケースで違いはあるが、取得税廃止で自動車購入に伴う税負担がなくなれば、2014年4月から消費税率が3%引き上げられる消費者負担はかなり相殺される。消費増税前よりも、自動車取得税廃止を待って購入する方が負担が小さくなるケースもありえる。

・このため、自動車取得税廃止が、消費増税の2014年4月と同じタイミングで実施されれば(実施時期についてまだ流動的)、2013年度後半に発生するとみられる自動車の駆け込み購入はかなり減る。政策変更による一時的な景気変動を和らげ経済を安定させる点で、2014年4月の自動車取得税廃止は望ましい。また、税制の簡素化・公平化を目指す長期的な観点から歓迎できる政策である。

・一方、最も影響が大きい住宅購入については、2014年以降に現行の住宅ローン減税延長に伴う減税規模を拡大、更に「住宅エコポイント」創設などが検討されている。中身はまだ決定していないが、この対応策が、消費増税の影響を大きく和らげる可能性は低いだろう。

・日経新聞(9月1日)によれば、(1)15年間に亘り合計で1000万円規模の所得減税、(2)減税にならない分は「住宅エコポント」の給付、との国交省の素案が紹介されている。実際には、所得減税が限度額に近づく購入者はかなり少数である。つまり、「住宅エコポイント」の給付対象範囲・規模がかなり広がらないと、大多数の購入者にとって消費増税前に購入するインセンティブは変わらないとみられる。

・本日の日経新聞で「減税ずらり」という表現で、減税プランが報じられた。ただ、今後の具体的な内容次第とはいえ、既に大枠が固まった増税策が及ぼす影響はあまり変わらないだろう。先に紹介したように、自動車取得税廃止で自動車業界だけやや恩恵を受けることになる。

・米国では、2013年初から増税と歳出削減によって、経済成長率を2-3%押し下げる「財政の崖」のリスクが懸念されている。日本でも2014年度以降の増税で、同程度のインパクトを持つ「財政の崖」を経験するリスクに直面することになるだろう。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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