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日本株式市場展望(2012年9月)PART2 どっちに転んでも株は上がる - 広木隆「ストラテジーレポート」

これまで株価上昇を阻んできた市場の懸念とは何であっただろうか?それは、欧州債務問題と世界景気の減速懸念である。これら株価上昇の阻害要因が取り除かれようとしている。だから、株は上がる。それが結論である。

欧州債務危機、収束への道筋
まず欧州債務危機。昨日、欧州中央銀行(ECB)理事会は南欧国債の買い取り再開で合意した。理事会後の記者会見でドラギ総裁は、欧州安定メカニズム(ESM)に支援を要請することを条件に、償還期間が1〜3年の国債を無制限に買い入れると表明した。メディア等で大きく取り上げられているので、ここでは詳細には触れない(こちらをご覧ください)。

筆者はこれで欧州債務危機は収束に向かうと考える。こんなことを言うと「超がつくほど能天気!」「度を越した楽観主義!」とお叱りや嘲笑がたくさんくるだろう。ECBによる国債買い取りというのは単なる「時間稼ぎ」でしかなく、抜本的な問題の解決 – 例えばスペインの財政状況の改善や、さらに言えば「通貨と金融政策はひとつなのに財政はばらばら」というユーロの根本的な問題の解決には程遠い – そういう指摘を多く見かける。それを百も承知で、なぜ筆者はこれで危機が収束すると考えるのかその根拠を述べる。

第一は市場の反応である。ユーロが買われ、7月5日以来約2カ月ぶりのユーロ高円安水準となる1ユーロ99円80銭台をつけた。南欧国債が買われ、スペインの10年物国債利回りは40bps低下して6.1%と3カ月ぶりの低水準となった。ダウ平均は244ドル高と急騰した。

これが「サプライズ」への反応でない、ことがポイントである。ドラギ総裁が発表した内容は事前にリークされ、報道されていた通りだったからだ。中央銀行が市場の意表をつく「サプライズ」を演出することはよくある。ポジティブ・サプライズに反応して市場は大きく動く。だが、昨日のECBの決定はサプライズを与えたものではなかった。それにもかかわらず、市場はこれを好感し大きくポジティブに反応した。なぜか?これが「問題解決への正しい処方箋」だと市場が認めたからである。いや、正確に言えば、ECBが正しい処方箋に則って実際に行動を起こすことを評価したからに他ならない。処方箋は前から示されていた。ただ、それを実行するには困難が伴っていた。今回、ドラギ総裁は、ECBによる国債購入は財政ファイナンスと反対するドイツ連銀総裁などをうまくコントロールして、この措置の発表につなげた。サプライズではなかったと述べたが、あえてサプライズ的な面を言えば、ドラギ総裁の実行力、突破力だったかもしれない。

第二に、(これまでも何度も繰り返してきたことだが)欧州債務危機の本質というのは、市場で起きていることにある、という点である。スペインの財政状態が悪いのも、ユーロが「通貨と金融政策はひとつなのに財政はばらばら」なのも、今に始まったことではなく、欧州債務問題が深刻化する前からずっとそうだった。それは「ユーロの構造問題」や「スペインの財政問題」ではあるが、「欧州債務問題」そのものではない。欧州債務問題というのは、ギリシャのデフォルト・リスクが顕在化したのを契機として、懸念が南欧全般に伝播した、その市場の動揺をいうものである。「危機」ではなく「危機感」が広がる過程で、問題の所在が(意図してか、どうかは別として)巧妙にすり替えられてきた感がある。つまり、問題の所在は、財政という一朝一夕にはとても改善しないものをどうこうする、というよりも市場の不安心理をどう収めるかという点であった。その観点に立てば、今回のECBの対応を市場が手放しで歓迎したという事実をもって、問題収束へ道筋が示されたと判断してよいと考える。すごく乱暴に言えば、欧州債務危機の終焉というのは市場の動揺が収まることであり、ECBが力ずくで動揺を収めにかかり、市場も落ち着きを見せ始めた。だから、これが収束への第一歩であるというのである。

世界景気の減速
こちらはなかなか一筋縄ではいかない。欧州が悪いのはどうしようもないが、それでも徐々にユーロ安の効果で輸出が伸びるなど少しずつ前進はしているようだ。欧州の景気悪化は債務危機と密接に結びついている。だから、債務危機収束が見え始めれば早晩、景気にもよい影響が出てくるだろう。なにしろ「景気は気から」だ。中国については見守るしかないだろう。しかし、これも欧州債務危機が収束すると次第に好転してくる。今日の上海総合指数は前場終了時点で4%超も急伸した。

欧州、中国についてはまだ不透明だが、世界経済の大きなエンジンである米国については光明が見え始めた。昨日発表された雇用関係の統計がいずれも良好な結果となった。民間の雇用関連サービス会社ADPが発表した8月の全米雇用リポートでは非農業部門の雇用者数が前月比で市場予想以上に増加。新規失業保険申請件数も予想以上に減少し、ISM非製造業景況感指数の「雇用」の項目が大幅に上昇した。これを受けて、米国で今日7日に発表される雇用統計も期待が上がっているようだ。当社も非農業部門の雇用者数の伸びについての予想を、従来の13万人増から15万人増へと上方修正した(詳しくはこちら)。こうなると来週のFOMCで追加緩和が実施されるか微妙になってくる。

但し、株式市場、特に日本株式市場にとってはどっちに転んでも良いと考える。昨日書いた「日本株式市場展望(2012年9月)」では、QE3の実施を前提にリスクオンで日本株上昇というシナリオを示した。では、雇用統計がそこそこ改善し、QE3が見送られた場合はどうなるか?その場合は素直にドルが買われるだろう。昨日の米国株の上昇はECBの国債買い取り再開を好感したものだ。すなわち「リスクオン」だが、通常「リスクオン」はドルの売り材料になる。ところが前述の通り、強めの雇用指標が出たことで、外国為替市場ではドルが買われ、一時79円台をつけるなど8月下旬以来約2週間ぶりの円安ドル高水準となった。昨日から今日の昼までの展開では円の独歩安である。

ECBが一歩前進した。今度はFRBの番である。QE3なら昨日書いたシナリオで日本株上昇。雇用統計がしっかりでQE3見送りなら、ドル高円安で、やはり日本株は上昇するだろう。「いいとこどり」のシナリオじゃないかって?ずっと「いいとこどり」と言われ続けてきた米国株式市場で、ダウ平均は5月初めにつけた年初来高値、すなわちリーマン・ショック後の高値を更新し、2007年12月以来の水準まで駆け上がっている。この事実は揺るぐまい。


(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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