9月10日から一週間は「自殺予防週間」だ。内閣府が音頭をとって自殺予防の啓発を行う。

 そのホームページには「自殺予防週間は、当該期間中における集中的な啓発事業等の実施を通じて、国民に自殺や精神疾患についての正しい知識を普及啓発し、これらに対する偏見をなくしていくとともに、命の大切さや自殺の危険を示すサイン、また危険に気づいたときの対応方法等について国民の理解の促進を図ることを目的とするものです」と書かれている。

14年間に渡り3万人以上が自殺

 日本は自殺大国だ。1998年以降14年間に渡って3万人以上が自殺している。98年というのは金融危機で、貸しはがしや貸し渋りが話題になった年だ。この年にいきなり3万人を超えて以来、景気が回復しようが、再び落ち込もうが関係なく3万人以上の自殺者が続くと言うのは、余程、この国が病んでいるという証拠だろう。

 自殺者には働き盛りの中年男性が多い。また最近は、就職難から大学生の自殺も増えてきた。一家の大黒柱を失ったり、将来ある若者を失ったりして、その社会的損失は測り知れない。また残された人々の精神的な問題も大きい。

 実は、自殺は私にとっても非常に身近な問題だ。

 1997年に起きた第一勧銀総会屋事件では、尊敬する宮崎邦次相談役を自殺で失った。宮崎さんは、私のような下っ端の者でも可愛がってくださった。事件の最中に虚ろな表情で役員フロアを歩かれていた姿を今でも思い出す。事件の責任をとられた覚悟の自殺だったが、生きて今のみずほ銀行を見守っていただきたかった。「みんなで力を合わせればいい銀行になるでしょう」という行員向けの遺書の文句を、後の経営者は心に刻んでくれただろうか。