社会インフラメーカーの巨人、米ゼネラル・エレクトリック(GE)にとって、重大な人事の発表が迫っている。

 GEは7月、驚きの方針を打ち出した。5年で25%以上の成長を果たし、全社売上高の3分の1、約3.5兆円を占める最大の事業に育ったエネルギー部門、GEエナジーの再編を決定したのだ。

 GEは今後、そのGEエナジーの中にある三つの事業部、「パワー&ウォーター」「オイル&ガス」「エナジーマネジメント」のそれぞれを部門に格上げ。それらを束ねていたGEエナジーという階層は取り払い、本社CEO、ジェフリー・イメルト会長の直轄とする。

 これによってGEエナジーという組織は、10月をもってその姿を消す。さらに再編後の組織におけるポストを減らし、所属社員の人員整理や配置転換を行うことで、2億ドル(約160億円)のコスト削減を図るという。

 絶頂を迎えようという花形部門に入った大きなメスは、業界内で反響を呼んでおり、新体制発表に注目が集まっている。

 GEはこの再編の意味を「組織の簡素化」と説明する。成長に伴って大きく複雑になり過ぎた部門を細分化し、組織の階層を最小限に抑えることで、顧客対応と意思決定の迅速化、コストの改善を目指すという。

 当然、リスクはある。これまでは事業部間で重なっていた業務範囲を、1部門だから調整できていた面も強い。事業部が部門に格上げされても、同様に処理できるかという課題がある。また、人員削減によるひずみも少なからず出るだろう。

 さらに、イメルト会長の右腕といわれ、次期会長候補との声もあったGEエナジーのトップ、ジョン・クリニキ氏がGEを離れたことを戦力ダウンとみる向きもある。

 しかし、GEエナジーでアジア・パシフィック総代表を務める上西健次氏は、「業績が伸びているときこそ、痛みを伴う変革を求めていくことが重要だ」と、今回の再編の意義を語る。