タイ 2012年9月12日

タイで起業した日本人が悩んでいる!
「税務署職員がしつこいんです……。 どうすればいいですか?」タイ人経理部長ブンが在タイ日本人の質問に答える【ブンに訊け!】

バンコク発ビジネス・生活情報誌『DACO』編集部のタイ人経理部長、ブン(女性)が日タイの架け橋となるべく在タイ日本人からの質問に答えます!

読者からの相談「税務署職員がしつこい!」
会社を設立して4年目。法人税も払えるようになっていますが、先日、突然、税務署の女性職員が会社にやって来て「税金の納入額が少ない」「もっと払えるはずだ」「経費の無駄があるのではないか」と表情はやわらかながら私と会社の経理を攻め立てます。
おまけに「会社の備品であるパソコンの領収書を破棄すれば儲けは出る」さらには「日本人の給料が高すぎる」ということにまで口を出します。
話の間が悪くなると、会社の備品であるロゴ入りのペン立てや時計をさも欲しそうにほめまくります。こういう手合いのうまいあしらい方を教えてください。(サエジマ)

 

【ブンからの回答】

税務署職員は突然やって来る

 数年して会社としての体裁が整ってくると、もっと税金を払ってもらいましょう、と職員たちは張り切って「突然」やって来ます。税金を搾りとるという実績をつくり、上司の覚えめでたく出世してゆくのが彼らの仕事です。

 職員が会社に来るのは
(1)会社の実在を確認し、どんな会社なのか様子を見、税制上のアドバイスをする
(2)税務署へ提出した書類に不備や不審が発見されたとき。たとえば半期ごとの会計見通しが大幅に違ったときやVAT(付加価値税)の還付が続きすぎる場合

です。

経営者は面倒を避けたがるが

 職員が来たときにはしっかりと経理を把握している人間が対応することです。その人間がいない場合は、また来てくれと言って、いったんお引取り願いましょう。

 会社のオーナーによくあるのですが、その場でお金や物品で解決しようしたら最後、職員は、「この会社は叩けばホコリが出る」と思い、「出世」をかけて追求に拍車がかかります。1度、やってしまうと10年は疑われますから。

 彼らは、よりたくさんの税金が払えるようにアドバイスしますが、なかには質問者がおっしゃるように「会社で購入したパソコンを経理書類に計上しなければ儲けは出る」というような間違ったアドバイスをする職員もいます。

 職員の指摘が間違っていることもあるので、キチンとした知識を持つ人間に対応してもらうことが大切です。従業員に知識がなければ、外部の会計事務所などの プロに依頼することです。わからないことはプロにまかせること。税務署はより多くの税金を取るのが仕事で、あなたの会社がどうなろうと知ったことではありません。

税務職員とのいい関係を

 会社を経営している方は、コストを削り、ときに鬼となって人員削減もします。税金なんかできるだけ払いたくないと考えるのもわかります。しかしその考えこそが税務署職員を呼び込むのです。

 職員にあれこれ質問されたら「キチンとやりたいから、どこがおかしいか教えてくれ」という態度を示しましょう。その気持ちが相手にも伝わることでしょう。

1992年から導入されたVAT(付加価値税)の登録業者証明書。日本の消費税に相当して販売やサービス価格の7%が課税される。登録業者の場合、毎月の納税は、前月の販売時に入った7%の税額計から仕入れ時(備品の購入も含む)に払った7%の税額計を差し引いた額を払うため7%より安くなる(マイナスの月もあり、その場合、翌月に繰り越される)。また旅行者は旅行中の買い物で課税された7%が空港ですべて還付される仕組みになっている。【撮影/「DACO」編集部】

(文・撮影/「DACO」編集部)

『DACO』とは?:バンコクで月2回発行される無料の情報誌。発行人の沼舘幹夫編集長は25年近く前に日本の通信社からニュースを仕入れ、在タイ日本人に伝えるために駐在員として来タイ。「ブンに訊け!」は、彼と編集部のタイ人女性経理スタッフ、ブンが、在タイ日本人から寄せられるタイでの困りごとを(誌面上で)あっけなく解決してしまう人気コラム。
 
 

 


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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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