あまりにも当たり前すぎて、
気づけないものがある

阿部:“ブッダ”っていうと、どこかにいるえらい人みたいに思うかもしれないけど、本来、われわれはそのブッダのエネルギーによって生かされている。

:そうそう。それを自覚している人が“ブッダ”ということなんだ。空気みたいなものなんだね。

阿部自覚していようといまいと、ブッダであることは変わらない。

:そうそう。いつもみんな空気を吸っているけど、その空気を「あー、空気を吸えてありがたいなあ」と思えるのか、その空気を吸えることの恩恵を忘れているか、ということやね。
みんな空気を吸っている。空気がないことには生きてられない、空気によって生かされている。でも、そのことに気づかないで、空気はどこだー、空気はどこだー、って走り回っているのが普通の人じゃないかな。
でも、本来は、新鮮な空気にちゃんと包まれていて、はぁー、空気ってこんな新鮮で、おいしいな、ありがたいな、というふうに思える、それが「自覚」というもの。
もともと空気に生かされているわけだけれど、それに気づくか気づかないか、というちょっとしたポイントの違いだよね。

阿部:今、空気っていうたとえ話になったけど、それはわれわれを生かしている、ブッダである大いなるエネルギー、それに対する自覚。
これは空気みたいなもので、自分そのものだから気がつかないけれど、そうなんだっていうことを自分たちが思い出せば、また全然、自分に対する認識が変わりますよね。

:あまりにも空気と一緒で、つねにあって当たり前すぎるから気づかない。

阿部:そうなんだよね。人間って、失くさないと気がつかない。

:そうそう(笑)。前に一回言ったことがあるけど、真空状態の部屋にみんなで入って…

阿部:空気を抜く!

:そうそう、ゆっくり。そうすると、だんだんみんな、苦しくなる。

阿部:アーッ!何だ、ここはっ!?何とかしてくれー!苦しい!空気がほしい! ぎりぎりまで追いつめて、もうこれは死ぬかもしれない、っていうタイミングを見計らって、新鮮な空気をサーッと入れる。

:あー、空気だー!って感動するわけ(笑)。結局、修行っていうのは、あえてそういうシチュエーションに追い込んでいるんじゃないかな。


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