「そうやって、多くの人びとが、外面的なものの探究から内面の旅に焦点を移したんだ。われわれは、長続きする成功の入口は外側ではなく内側にひらくことに気づいた。もっとも貴重なものは内側にある。わたしたち人類は魂の要求について考えはじめ、個人の成長、もっと誠実で思いやり深くなること、財産を遺(のこ)すことに時間をあてている。成功も大切だが、意義ある人生はもっとすばらしい。……さっきもいったように、人びとが変われば変わるほど、全世界は変わるだろう。いま起きているのはじつにすばらしいプロセスだ。いまは生きるには最高の時代といえるだろう」

「じつに感動的な話だ」さらにリラックスして、聞いていることをしっかり吸収しながら、わたしはいった。そして、腕組みをといた。

「誤解しないでもらいたいんだが」と、修道僧はいった。「金を稼ぐこと、いいものを所有すること、物質的にゆたかな暮らしをおくることは、けっしてわるいことではない。われわれは人間の経験をもつスピリチュアルな存在であり、人類が創造したすばらしいものを享受することで、人生はよりよいものになる。金があれば暮らしにゆとりができて、多くの自由を買うことができる。そんなことはないという人は、おそらくダチョウ症候群にかかっているのだろう」

「なんですか、それは?」