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府庁移転と市の破綻三セク処理
大阪府議会が下した“妥協策”

週刊ダイヤモンド編集部
2009年11月5日
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 今年3月に続く2度目の挑戦も失敗に終わったが、前へ進んだことは間違いない。大阪府の橋下徹知事が目指す府庁移転の問題だ。

 大阪府議会は10月27日、大阪市の第三セクター、大阪ワールドトレードセンタービル(WTC)への府庁移転条例案を否決し、その一方でWTCを約85億円で購入する予算案を可決した。議会各派が徹夜の調整を重ねたすえの結論だ。移転は認めないが、WTCの購入は認めるという妥協策である。ビルのいわば先行取得だが、そのまま使わずにいたら税金のムダづかいとなってしまう。

 橋下知事は議会後、「移転できるものは移転していく。実態的には第二庁舎というかたちになる」と記者団に語った。そして、府庁移転条例案をあらためて提出する考えを示した。3度目の挑戦への意欲をみなぎらせたのである。

 大阪を二分する大騒動となっている府庁移転は、過去の清算と将来の発展が絡み合った課題である。そして、大阪府と大阪市が連携し「ウィン・ウィン」の関係を構築する歴史的なテーマでもある。

 そもそも移転問題の始まりは府庁の老朽化にある。大阪城前に造られた府庁は建設から80年あまりが経過し、耐震強度の不足や手狭といった難題に府は直面。時間をかけながら耐震補強するか(395億円)、今の場所で新たに建て替えるか(537億円)、それとも別な場所に移転するかの決断を迫られている。一方、大阪市は1198億円かけて建設したWTCの経営問題に苦慮していた。テナントが集まらず経営破綻し、今年3月に会社更生法の適用を申請。ビルの買い手を探し続けている。

 こうした府市の苦しい状況を打開し、かつ、湾岸の活性化と地域の再生を図る具体策として浮上したのが、府庁のWTCへの移転構想だ。しかし、中心部から離れていることや災害時の地盤の液状化を心配する人たちが声高に反対し、今回も半歩前進に終わった。住民投票で府民に直接、是非を問うべきテーマではないか。

(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 相川俊英)

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