韓国と中国はどちらが影響が大きいか
領土問題の波及を恐れる日本の経済界

 わが国と中国、韓国との間で、領土問題をめぐる対立が鮮明化している。今のところ、解決に向けた道筋が見えていない。もともと外交が苦手と言われるわが国とって、厄介な問題が顕在化してしまったというのが本音だ。

 しかも、何事にも頼りない現在の民主党政権では、難しい領土問題に有効に対処することは期待できない。

 懸念されるのは、日中・日韓の関係悪化が、わが国の経済にマイナスの影響を及ぼしかねないことだ。足もとで世界的に経済活動が減速しており、わが国にもその影響はじわりと出始めている。

 そうした状況下、日中、日韓との関係悪化が、わが国経済に悪影響を及ぼすことになると、緩やかに回復基調を歩んできたわが国の景気の腰を折ってしまうことも考えられる。産業界からは、早期の関係回復を要請する声が高まっている。

 中国、韓国とわが国の経済関係について整理すると、それぞれの国との関係悪化の影響がわかりやすい。

 まず、中国は世界第二位の経済大国であり、影響のマグ二チュードはかなり大きい。わが国企業は、同国に多くの生産拠点を持っている。

 また、最近所得水準の上昇に伴って、中国はわが国企業がつくる製品群の重要な消費地になりつつある。そのため、中国国民の対日感情が悪化することは、わが国の経済に大きなマイナスの影響を与える可能性がある。

 一方、韓国は中国ほど大きな経済規模ではない。貿易収支はわが国の黒字、韓国の赤字という状況だ。わが国から韓国に対する主な輸出品は、機械などの資本財や部品などの中間品が多い。それらの品目は、基本的に国民感情などによって相対的に影響を受けにくいだろう。

 また、わが国企業は、韓国にそれほど大きな生産拠点などを持っていない。むしろ、IT関連製品ではライバル関係にある。そうしたことを総合的に考えると、韓国との関係悪化が、すぐにわが国経済に重大な影響を与える可能性は低い。