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井熊均の「性能神話」を打ち破れ

夢の空間の最先端を走るトヨタ
ポジティブシンキングこそ新地平を拓く

井熊 均 [日本総合研究所創発戦略センター所長/執行役員]
【第7回】 2012年9月19日
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前回 、日本企業は自動車業界という大市場で、動力(ハイブリッド技術)、ICT、エネルギーの三つの軸により構成される夢のような空間の先頭を走っていると述べた。その中でも最先端を走っているのはトヨタ自動車である。自動車にまつわる夢空間の創出は、低迷する日本に光をもたらす動きになりえる。我々はこうした夢のある世界を、政策や戦略に変える議論をポジティブにしていくべきだろう。日本は自虐的な姿勢から脱却し、ポジティブシンキングにより、自らの強みを伸ばすことに専念すべきである。

革新企業としてのトヨタ

 自動車業界を取り巻く新しい流れの最先端を走っているのは、国内で見ても、世界的に見ても日本であり、トヨタである。動力系については、ハイブリッドからプラグリン・ハイブリッドをラインアップ化し、自動車用の情報通信システムでは、いち早く独自のブランドを立ち上げ、高性能のシステムを商品化している。また、スマートコミュニティの世界でも、複数需要家を含んだコミュニティベースでの実証事業などを手掛けている。筆者の知る限り、上述した夢の3次元空間に向けて、これだけの取り組みを行っている例はない。

 先日、筆者が日経新聞に書評を書いた リンクトインの社長の『スタートアップ~シリコンバレー流成功する自己実現の秘訣~』(日経BP社)によれば、「企業が持続するためには、常にベータ版としての意識が必要だがデトロイトの自動車会社の幹部からは微塵もそうした雰囲気は感じなかった」と書かれていた。しかし、日本を代表する大企業の中には、そうした懸念が当てはまらない例もあるようだ。

 トヨタというと、TPS(トヨタ・プロダクション・システム)に代表される生産性の高さが強調されがちだ。しかし、トヨタには自動車業界の革新を引っ張ってきたというもう一つの顔がある。スカイラインGT-Rが登場した時代、それと同等ないしはそれ以上に高いステータスを獲得していたのは、トヨタ2000GTだ。

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井熊 均 [日本総合研究所創発戦略センター所長/執行役員]

いくま ひとし/1983年早稲田大学大学院理工学研究科修了、三菱重工業(株)入社、90年日本総合研究所入社、95年アイエスブイ・ジャパン設立と同時に同社、取締役に就任(兼務)、97年ファーストエスコ設立と同時に同社マネージャーに就任(兼務)、2003年早稲田大学大学院非常勤講師(兼務)、03年イーキュービック設立と同時に取締役就任(兼務)、06年日本総合研究所 執行役員 就任。近著に『次世代エネルギーの最終戦略-使う側から変える未来』(2011年、東洋経済新報社)『電力不足時代の企業のエネルギー戦略』(2012年、中央経済社)。


井熊均の「性能神話」を打ち破れ

日本企業の凋落がとまらない。企業の産業戦略の基本理念であった「雁行モデル」では、もはやグローバル社会で戦えなくなってきている。その理由は、性能を上げれば逃げ切れる、という性能神話にある。今こそ日本企業は、単品の性能神話から脱し、自らの「組み合わせ」の強みを再認識し、グローバル戦略の中核に据えるべきだ。中国をはじめ新興国で多くのエコシティビジネスを手がける日本総研の井熊均氏が、日本復活のチャンスを問う。

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