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金融市場異論百出

「尖閣国有化」で事態が急変
9月が日本に大打撃の理由

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2012年9月19日
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 日本政府が9月11日に尖閣諸島国有化を決定する数日前まで上海にいた。上海の街中では反日的ムードは全く感じられなかった。

 中国の代表的な経済雑誌「財経」(9月3日号)も社説で冷静な議論を示していた。「もし中国が単純に民族的な傾向を強めたら、中国は容易に孤立する。強硬に振る舞ったり、武力を使ったりしたら、中日両国共に重い損害を受ける。理性的な言論と行動を保ち、お互いに交渉できる余地を残すべきである。争いを避けることが、唯一かつ必須の選択肢だ」。

 しかし、国有化発表の翌日に中国各地の知人に電話してみたところ、皆同様に「これから何が起きるのか考えると怖い」と心配していた。先日ブラジルに行った際、ブラジルに進出する日本企業が近年増加し、約450社に達したと聞いた。とはいえ、中国への進出数に比べれば桁が二つ違う。日系の中国進出企業は実に2.6万社を超える。今回の問題が日本経済に及ぼす影響が心配される。

 欧米から中国への直接投資がマイナスになっている中で、日本企業だけはプラスの状態を続けてきた。それ故、中国政府としては日本からの投資が減ることは本来避けたいはずだが、世論との関係で強硬姿勢を見せている。

 「中国新聞網」(9月12日)によると、8月に日本ブランドの家電販売は急激に悪化した。ある調査では、前月比のテレビ販売台数は、日本メーカーは21~44%も下落した。家電流通業界の専門家は、「日本製品はイノベーションに欠け、販売方法も保守的なため、3年前から売り上げは徐々に落ちてきていた。しかし、最近の急激な減少は尖閣の影響だ」と語っている。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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