(2)損益計算書からわかるさまざまな利益

 収益と費用は、ともに性質の異なるいくつかのグループによって構成されています。したがって、どの収益と費用を比較するかで、差額としての利益(損失)の種類は異なります。

 販売した商品や製品の代金(売上)から原価(売上原価)を差し引いた値が「売上総利益」です。これを「粗利益」と呼ぶこともあります。例えば、製品を100万円で仕入れて150万円で売れば、粗利益は50万円です。これは、その販売して得た製品やサービスの付加価値の大きさを表しています。

 次に、売上総利益から販売費と一般管理費を差し引いた値(つまり、売上高−(売上原価+販売費及び一般管理費))が「営業利益」です。これは会社が本業で得た利益です。

 商売をするには財務的(つまりお金の)基盤が不可欠です。お金に余裕があれば預金や株式に一時運用しますし、逆に不足すれば銀行借入が必要になります。営業利益に、これら財務活動から生じた営業外収益(受取利息と配当)と営業外費用(支払利息)を加減した値が「経常利益」です。収益と費用の範囲を営業活動と財務活動まで広げた場合の利益です。これは、会社の現実の実力を表しています。「営業利益」があっても「経常損失」になってしまう理由は、財務的基盤が弱いからです。

 経常利益に臨時的あるいは偶発的に生じた利益と損失を加味した値(つまり、すべての収益と費用の差額)が「税引前当期利益」です。さらに法人税等を差し引いた値が「当期利益」で、年間の最終的な業績を表わします。

第1章 会計はだまし絵、隠し絵だ(後編)

(次回は10月10日更新予定です)


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