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ミャンマー その投資ブームは本物か

良い意味で現地リスクを“割り切る”こと
ミャンマー進出を成功させたマニーの胆力(1)

杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]
【第7回】 2012年9月20日
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インフラ? あれでも良くなってます(笑)

まつたに・かんじ/1964年4月、松谷製作所(現マニー)入社。65年10月、専務取締役就任。69年5月、代表取締役専務就任。86年11月、代表取締役社長就任。2004年11月、取締役会会長兼代表執行役社長就任。2010年11月、取締役会議長兼執行役会長就任。96年5月のベトナム進出、99年のミャンマー進出など、同社の海外進出の陣頭指揮をとり、同社の成長の基礎を築いた。

 「特にインフラがダメっていうのはすごく感じましたが、私としては、『インフラはうちの商売の場合そんなに問題にならない。それよりもそこで働く人たちの気概だよな』って、そんな風な感覚で……」

 松谷貫司・マニー取締役会議長兼執行役会長は笑いながら、言葉をつづけた。

 「でも現実に道は悪いし、今でも実際インフラ面では苦労していますが、当時に比べるとあれでも相当よくなっていますよ」

 笑って振り返れることばかりではなかったはずの過去も、今だからこそ、そう言える。それこそが、この会社の積み重ねてきた現地での経験の賜物だ。

 ミャンマーにおいて、実際に事業を行うということは、どういうことなのだろうか。ミャンマー人の従業員のポテンシャルを十分に引き出すには、何が必要なのか。またミャンマーで事業展開する上で、やってはいけない点は何なのか。ミャンマーでの工場管理において、重要な点は何か。工場設立においては、どのような点に配慮すべきなのか――。

 今後、ミャンマーに進出する製造業にとって、いずれも避けて通れない考察論点だ。その答えのヒントを知るには、長年ミャンマーで実際に事業を展開して、その過程を経験してきた企業に、話を聞くのが一番だ。とりわけ筆者は、海外進出慣れした大企業よりも、全社的にリスク感を感じながら海外進出を行っている中堅企業のほうが、具体的な説明を聞くことができると考えた。なによりも、今後、中堅企業の進出はますます多くなる。そのためにも、身の丈に合った経験を聞いておきたいと考えた。

 その観点から今回取り上げるのは、栃木県宇都宮市を本拠地とし、医療用器具において確固たる地位を築いているマニー株式会社だ。

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杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]

すぎた こういち/カリフォルニア大学サンタバーバラ校物理学及び生物学部卒。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)経済学修士課程卒。15年間にわたり複数の外資系投資銀行にて、海外進出戦略立案サポートや、M&Aアドバイザリーをはじめとするコーポレートファイナンス業務に携わる。2000年から2009年まで、UBS証券会社投資銀行本部M&Aアドバイザリーチームに在籍し、数多くのM&A案件においてアドバイザーを務める。また、2009年から2012年まで、米系投資銀行のフーリハン・ローキーにて、在日副代表を務める傍ら東南アジアにおけるM&Aアドバイザリー業務に従事。2012年に、東南アジアでのM&Aアドバイザリー及び業界調査を主要業務とする株式会社アジア戦略アドバイザリーを創業。よりリスク度の高い東南アジア案件において、質の高いアドバイザリーサービスの提供を目指してASEAN各国での案件を遂行中。特に、現地の主要財閥との直接の関係を生かし、日系企業と現地企業間の資本・業務提携をサポートしている。ミャンマーにおいては、大手事業会社、総合商社、金融機関等の進出戦略立案及びその実行サポートに携わる一方で、2012年よりダイヤモンド・オンライン(Diamond Online)にて、3年間にわたり人気コラム『ミャンマー その投資ブームは本物か』『海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線』を連載。


ミャンマー その投資ブームは本物か

民主化へ一気に動き出したミャンマー。政治体制の不安定さや民族間の紛争など、ミャンマー特有のリスクは依然として残るものの、欧米による経済制裁が解除されつつあり、世界中の企業が東南アジアの「ラスト・フロンティア」として注目している。現地では電力をはじめとした社会インフラに関する大型投資案件、工業団地の造成が急ピッチで進められている。日本企業も、成長の糧をミャンマーに見出そうと、熱い視線を注いでいる。しかし、ブームとなっているミャンマー投資は、果たして本物なのだろうか。ブームに踊り、現実を軽視した、拙速な投資へと急いでいないだろうか。現地取材を敢行し、冷静な目でミャンマーの現実をレポートする。

「ミャンマー その投資ブームは本物か」

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