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アマデウスたち

福井江太郎
日本画の現在性としての前衛

週刊ダイヤモンド編集部
【第66回】 2009年2月13日
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福井江太郎
写真 塚田比呂子

 父は洋画家、祖父と曽祖父が日本画家。日本の美術史をなぞるようにして生まれた。目の前に敷かれたレールに従い、美術大学に進んだが、心の底からわき上がるものを実感できず、好きな芝居に明け暮れた。

 何を描いたらいいのか。ある日、その混沌とした思いをぶつけるように、ダチョウの羽に似せ、黒でぐちゃぐちゃに塗りつぶし始めた。

 大きな黒い塊に、アンバランスな小さな頭、カーブを描く細く白い首と、まっすぐに伸びた足を足していった。「黒と白、面と点と線の対照的な構成が、人間や事象の二面性と重なる」おもしろさに、のめり込んでいく。

 今度は紙の上に蜜蝋を塗り、絵の具を滑らせた。その動きはまるで「ダチョウが動き出したように自由」。このとき「絵を描く苦痛から解放された」。

 2005年からは、花も描き始めた。華道家の中川幸夫に魅せられてきたからだ。「人間の静脈が見えるような花を表現したい」。日本画には定番の菖蒲も牡丹も、どこか妖しげで、艶かしい。

 作品に漂う前衛の香りは、父が活躍した1970年代のポップアートを彷彿とさせる。「円山応挙然り、伊藤若冲然り、曾我蕭白然り、日本画家は常に前衛的だった」。03年以来続けている「ライブペインティング」のパフォーマンスも、古くは絵師が宴席で披露した「席画」の延長線上にある。

 日本画の現在性としての前衛を、意識的に仕掛けている。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 遠藤典子)

福井江太郎(Kotaro Fukui)●日本画家 1969年生まれ。92年多摩美術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業、94年同大学院美術研究科修了。95年初の個展を開催、ダチョウに続き花を主なモチーフに作品を展開する。2004年文化庁買い上げ作品に選出。06年紺綬褒章受章。

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