「そのとおり。……どんな苦難も永続はしない。どんな挫折も永遠に終わらないことはない。いうなれば、人生には、季節、章がある。つらい時期というのは、つまるところ、われわれをよりよいものにかたちづくってくれる時期なんだ。だが、おぼえていてもらいたいのは、わたしが話している自然の法則に留意し、それらに深い敬意をはらいながら生涯をすごせば、難題や苦痛に満ちたまわり道ではなく、高速道路にのってすごす時間のほうがはるかに多くなるということだ

「ということは、苦しみがやってきて、“もっといい人間であれ”とか“人生で平凡にふるまうのをやめよ”といった、わたしたちが学ぶ必要のある教訓を伝えようとしても、そういった真理、つまりあなたがいうところの“法則”を理解していれば、苦しみながら学ぶ必要はないのですね。苦しみが少なくてすむのは、世界をとりしきっている法とずれているときにしか苦しみは起きないからですね。だから、わたしたちは人生がどう展開するかに劇的な影響をあたえることができる」

「すばらしい、ダール!」うれしそうにこぶしを突きあげながら、ジュリアンは叫んだ。「でも、いいかい、きみはまだ苦難を経験するかもしれないんだ。というのも、われわれは完全ではないから、つねに学ぶべき教訓があり、それらはときとして痛みをともなうかたちでやってこざるをえない。そういうものなんだ。だが、そう、自分自身で全面的に責任をひきうけ、日々そのときどきに賢い選択をすることによって、苦しみを減らすことはできる。そのようにして、運命を切りひらき、もっとしあわせな人生をおくる力をもつんだ」……

 ジュリアンは手を伸ばしてオグ・マンディーノの本をとりあげ、黄色いインクで強調したある個所を指さした。「さあ、この大事な真理を読むんだ」

 いままで学んできた真理がすべてそうであるように、シンプルな一行だった。「わたしはたまたまこの地球にいるのではない。ひとつの目的のためにいるのであって、その目的は小さな砂粒になることではなく、成長して山になることだ」

「ありがとうございます、ジュリアン」わたしはおだやかにいった。「わたしの人生を救ってくださって」

[この連載は毎週木曜日に掲載します] 


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わたしたち一人ひとりに、天職はあるのですか?

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