大量の資料を前に、思わず腕組みをし、う~むと唸ってしまう。

 資料ファイルには『警察官・教師の不祥事・わいせつ事件』というタイトルがつけてある。この二十五年というもの、仕事に必要な新聞の切り抜きをずっとスクラップしているのだが、この項目だけは途中でやめたこともあった。

 あまりの多さにうんざりしてしまうのだ、警察官と教師のわいせつ事件は。
  何でだ? と思ってしまうくらいに多発、続発、頻発で、摘発される。

 わいせつ行為に手を染める愚か者に公務員も民間人もないのだが、この愚か者たちに共通しているのは、己の立場をわきまえていない――、ということだ。社会的な信用や地位を失うことを厭わず、性欲を優先するのである。

 つい先ごろも、その典型的な破廉恥魔が逮捕された。八月二十二日のことだ。

 女性のスカート内を“盗撮”したとして逮捕されたのは大歳卓麻容疑者。驚いたことに、日本IBM社の元社長だった(新聞報道は八月三十一日)。逮捕時の年齢は六三歳である。

 本人は、盗撮に興味があった、と容疑を認めているが、犯行時、大歳氏の肩書きは日本IBM社の最高顧問に加え、カルビー、三菱UFJファイナンシャルグループ、明治安田生命保険、花王、TOTO計五社の社外取締役を兼任していた。

 今回の逮捕により、全ての役職を辞任。さらには、総務省の諮問機関でもある情報通信審議会の会長を辞め、経済同友会も退会した……、盗撮というハレンチ行為ひとつで、氏はこれだけの名誉職と役員報酬を失った。額にして、およそ七〇〇〇万である。

 トップにまで登り詰めた人間のわいせつ事件にはいつも“何故なんだ”の疑問がついてまわるが、同じことは教師や警察官の不祥事・わいせつ事件にも言える。全てを失いかねない犯罪を犯すことに、彼らは抵抗がないのだろうか。