週刊ダイヤモンド スルガコーポレーション、ゼファー、アーバンコーポレイションと相次いで新興不動産ディベロッパーが破綻している。8月末にはセボン、創建ホームズも次々と倒産。そのディベロッパーの破綻によって焦げ付きが発生したことにより、宮崎県の志田組、北海道の北野組、石川県の真柄建設と、中堅のゼネコンもバタバタと連鎖倒産を始めた。さながら、「同時多発破綻」といった様相である。

 週刊ダイヤモンド9月6日号の「ゼネコン不動産同時多発破綻」特集では、相次いでいる新興不動産ディベロッパーの倒産と、それに連鎖する形で同時多発的に発生している中堅以下のゼネコンの破綻の構図を明らかにした。

 また、緊急調査により、ゼネコン・不動産887社の経営危険度を分析、経営状況のランキングを作成した。個人の分譲マンション購入希望者が気になるはずの「倒産したら手付金は戻ってくるの? あなたの財産を守る4つのチェックポイント」といった記事も盛り込んでいる。

 昨年までは、「わが世の春」といった感じで高株価を維持していた新興不動産ディベロッパー。しかし昨年末ごろから状況ががらりと変わる。不動産融資を行っていた外資系銀行が相次いで融資を縮小。すでに国内銀行も不動産融資を厳格化しつつあったことから、不動産市場に資金が流れ込まなくなり、一気に不動産不況に突入した。

 それが、現在のゼネコン・不動産連鎖倒産の始まりだ。特集ではアーバンコーポレイションが破綻に至った裏側から、新興ディベロッパーが苦境に至った理由、そしてゼネコンへと破綻が波及して行った構図を明らかにしたい。その上、ゼネコンは公共工事の減少、官製不況といった構造的な問題も抱えており、状況はより複雑だ。

 今回の平成のミニバブル崩壊は、1990年代のバブル崩壊とはちょっと様相が違い、とにかくスピードが速い。現に、今年最大の倒産だったアーバンコーポレイションは昨年度、過去最高益を記録している。それからわずか半年も経たずに倒産したのだから、いかに市場が急速に変化しているか分かるだろう。

 そこで緊急調査を行ない、ゼネコン・不動産887社の経営状況を分析した。できるだけ最新のデータを使い、上場347社だけでなく非上場504社まで網羅したのは、本特集以外に例がない。幅広い取引先の信用状況判断にも使えるだろう。

 一方で、個人が購入できる不動産商品「REIT」41銘柄の財務保守度格付けも行なった。リートを購入する際の参考として利用して欲しい。

 ゼネコン・不動産の倒産は簡単にはおさまりそうにない。今回の特集を読んで、ぜひ今後のゼネコン・不動産市場のゆくえを占って欲しい。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 野口達也)