株式レポート
9月21日 18時0分
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中国リスク〜政治の混乱が悲観論を膨らませる〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

・先週大きく上昇した、米国株・米国金利は今週になって上昇が一服している(グラフ参照)。先週(9月13日)に発表されたFRBによる強力な金融緩和策(QE3)で、市場心理は大きく改善したが、金融緩和の効果を見定めるフェーズに移りつつあるといえる。


・例えば、昨日(9月20日)の日米株式市場では、「中国・欧州の経済指標停滞」が悪材料になったと報じられている。金融緩和が実現しても、それが企業業績などの経済回復を後押ししなければ、「期待先行」で上昇した株式などは自ずと調整する。

・9月に米欧日で出揃った金融緩和の効果がでてくるのはこれからだが、2011年後半に台頭した欧州債務問題の余波で、世界経済の減速は続いている。この経済の落ち込みが非常に大きければ、米欧日の金融緩和の対応が実現しても景気減速に歯止めがかからない、というリスクは確かに残っている。

・メディアでも報じられているが、2012年前半の欧州・アジアなど新興国の経済成長率は、過去2年よりも低い伸びとなっており、輸出停滞を通じて米国や日本にも悪影響が波及する兆しがある。「これから世界的な景気減速が本格化する」そうしたリスクへの疑念が、株価などの上値を抑える場面があるだろう。

・ただ、足元の中国や欧州の景気指標は、足元の大幅な落ち込みを示しているのだろうか?昨日(9月20日)発表された、中国、欧州の製造業景況感指数(9月)は、いずれも中立水準である50を下回ったが、8月対比で若干ながらも上昇した。「改善に転じた」とは言えないが、経済活動が急速に落ち込んでいるわけではない(グラフ参照)。


・特に、現在大きなリスクとして意識されているのは中国だろう。今週、上海総合指数が年初来安値を更新し、そして中国の政治リスクが誰もが認識できるレベルで明らかになり、これらの悪影響がメディアをにぎわせている。(1)中国経済が2000年代の高成長期が曲がり角を迎え長期的にフェーズが変わる局面にある、(2)政治的な権力移行期にある、ことが重なり様々な問題が浮き彫りになっている。

・こうした問題が起きる中で、不動産ブームの崩壊をきっかけに、中国経済も深刻な落ち込みが免れないという疑念も再び高まっているかもしれない。ただ、長期的に中国経済が直面する問題と、1年前後のタイムスパンで起こる景気変動については、切り離して考える視点が重要である。

・先で紹介したが、中国の経済活動が深刻に落ち込んでいるかといえば、足元の景況感指数の動きを冷静にみればそうでもない。また、さらに、中国の各都市の住宅価格をみると3ヶ月連続で上昇するなど、夏場に下げ止まっている(グラフ参照)。政治権力の移行期にあり、経済安定化策が機能不全に陥っているようにもみえるが、経済の落ち込みを回避する対処は、それなりに働いているということである。


・そして、9月12日レポートでも紹介したが、資源市況の実需改善を反映して、銅やアルミニウムなどの価格もようやく上昇している。これまで、資源市況の需給悪化の象徴とされた、中国の鉄鉱石輸入価格も9月になってから持ち直している(グラフ参照)。中国の製造業の景況感悪化に歯止めがかかりつつあることと整合的である。


・これらの悪くない足元の動きは、小さな変化である。誰もが目の当たりにする政治の混乱に目を奪われていると、こうした変化の兆候が見過ごされ易い。政治混乱で膨らむ中国リスクへの悲観論は、むしろ投資機会を提供しているのではないか。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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