大きな流れでいうと、日本の景気動向は2012年前後まで不景気の循環に入っていることを、前回の私の記事でお伝えいたしました。今回は、その2012年前後の経営におけるポイントを再度ふりかえっておきましょう。

 

 今後、この図に対応しながら、1つ1つの戦略に関して、具体的事例を踏まえてご説明していきたいと思います。

【価格戦略のポイント】
好景気の60~80%の価格帯が売れる

 過去の不景気の分析を通して、法則化されていることがあります。その大きな1つの項目が「売れ筋価格」についての考え方です。

 価格戦略を考えていく上で重要な観点は、買う側となるお客様の「心理状態」と「フトコロ具合」です。まず、不景気の状況では、残業が少なくなり、賞与も少ないため、世帯の年収が確実に下がります。当然、失業率も上昇傾向にあります。このため、実質的に消費にまわるお金が減るという現象が当然起こります。不景気ですから当たり前ですね。

 しかし、ここでポイントとなるのが、人間の心理です。人間は、1度経験した生活のレベルを落とすということがなかなかできないものです。景気は循環していますので、その前の景気が良い時には、色々な面で消費にお金がまわり、生活レベルも向上します。これが不景気になったとしても、過去、経験したレベルの生活は、極力落としたくないという心理が働くことは、納得いただけるのではないでしょうか。

 しかし、実際に使えるお金は確実に減ります。皆様の中でも、今回の不景気で奥様との話し合いにより、小遣いを減額された方も多いのではないでしょうか?

 そのために不景気に爆発的に売れる価格帯があります。それが、品質は下げずに価格を好景気時の60~80%に落としたものです。

“ビール”売れ筋価格の変遷

 まず、サラリーマンの愛用商品、ビールについてみてみます。

 ここで思い出してほしいことは、「人間、生活レベルはあまり落としたくない」という原則です。そのため、不景気だから、家でお酒を飲む量を減らすということはしたくありません。かえって増加するくらいです。ここで価格に明確な変化が現れます。