朝日新聞のマニラ支局長などを経て2009年に単身カンボジアに移住、現地のフリーペーパー編集長を務めた木村文記者が、日本の「イオン・モール」のカンボジア初出店についてレポートします。

カンボジアにも「イオンモール」が

 アジアの途上国で暮らしていると、「ついにこの国にもこれが来たか」というシンボリックな企業進出というのが、いくつかある。人それぞれに基準は違うと思うが、私の場合、「これが来れば一人前の消費地として認められた(認められるのが、いいかどうかは別として)」と勝手に思うのは、マクドナルドとスターバックスとイオンモールである。

 日本で新聞記者をしていた時の任地の一つが、マクドナルドの出店が日本で最後となった某県であった。そのことをさして重要とは思っていなかったが、現地で取材をしていると、何かにつけて「マック進出最後の地」という話題が引き合いに出された。その経験からかもしれない。

 カンボジアの首都プノンペンには、まだマクドナルドもスターバックスもない。だが、ここに、大型小売店の日本最大手「イオンモール」が進出することになったと聞いて、プノンペンが消費地としてぐっと成長したような感覚を持った。

8月30日に開かれたイオンモール・プノンペン(仮称)のテナント向け出店説明会の受付。同社のアジア展開を示す地図=プノンペン市内のホテルで【撮影/木村文】

ターゲットは若いファミリー

 イオンモール・プノンペン(仮称)は2014年の開業を目指している。プノンペン市街地の東、バサック川に面した土地に、総床面積約10万平方メートルのモールを建てる。地上3階(一部4階)の低層だが、出店数は150店。プノンペンで最大級のショッピングエリアとなる。

 テナントは5割をカンボジア企業、3割を日系企業、2割をその他中国や東南アジア諸国からと考えている。1階は食、ファッション、美容ゾーンなど、2階は日用品のほか、医療施設を集めたクリニックゾーン、3階と4階はシネマコンプレックスなど大型娯楽施設を集めたアミューズメントゾーンとする計画だ。

2014年に開業を目指すイオンモール・プノンペンの予想図【撮影/木村文】

 集客のターゲットは「若いファミリー」。人口の7割が30代以下の国で、購買力を持つ働き盛りの人口は、末広がりに増えていく。「この国とは、長いおつきあいができると思っている」と、同社は言う。

 同社の「購買力調査」も興味深い。カンボジア全体では月収400ドル(約3万2000円)以下の世帯が88%とほとんどを占めるが、イオンモール開業予定地の周辺5キロ圏内では、月収400から800ドル(約6万4000円)の世帯が最も多く、78%にのぼった。さらに予定地1キロ圏内に絞ると、月収800ドルから2000ドル(約16万円)の世帯が6割を超えていた。

 「今のカンボジアは日本の1960年代の状況と似ているが、成長のスピードは日本の4倍ともいわれる。その勢いに期待を込めた」と、同社幹部は言う。


橘玲の書籍&メルマガのご紹介
世の中(世界)はどんな仕組みで動いているのだろう。そのなかで私たちは、どのように自分や家族の人生を設計(デザイン)していけばいいのだろうか。
経済、社会から国際問題、自己啓発まで、様々な視点から「いまをいかに生きるか」を考えていきます。質問も随時受け付けます。
「世の中の仕組みと人生のデザイン」 詳しくは
こちら!
橘 玲の『世の中の仕組みと人生のデザイン』 『橘玲の中国私論』好評発売中!

バックナンバー

»関連記事一覧を見る

海外投資必勝マニュアル&本

海外投資のノウハウが凝縮! ここで紹介しているコンテンツ、書籍はすべて、ネットから購入が可能です。さらに「海外投資実践マニュアル」は「海外投資を楽しむ会」の会員になれば割引価格で購入可能です。

作家・橘玲がメルマガ配信を開始!
橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
橘玲×ZAiONLINE海外投資の歩き方
作家・橘玲がメルマガ配信を開始!
subcolumn下影

ページのトップに戻る

本WEBサイトに掲載している全ての記事およびデータについて、その情報源の正確性・確実性・適時性を保証したものではありません。本サイトの提供情報を利用することで被った被害について、当社および情報提供元は一切の責任を負いませ ん。万一、本サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社および情報提供元は一切責任を負いません。本サイトからアクセス可能な、第三者が運営するサイトのアドレスおよび掲載内容の正確性についても保証するものではなく、このような第三者サイトの利用による損害について、当社は一切責任を負いません。また、併せて下段の「プライバシーポリシー・著作権」もご確認ください。