株式レポート
9月24日 18時0分
マネックス証券

債務危機後に最も上昇した欧州株〜出遅れリスク資産の投資妙味〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

・9月に米欧の強力な金融緩和策が出揃い、市場心理は改善した(9月14日レポート)。日銀も米欧中銀に遅れないために、金融緩和のタイミングを早めた(9月19日レポート)。先週は、金融緩和などの当局の政策への期待と、中国などの世界景気減速の懸念が交錯し、総じて方向感は乏しく、原油価格が急落するなどこれまでの動きが変わる兆しもある。

・9月になって日本株を含めリスク資産が上昇したが、欧米の政策期待という点では、7月末(ドラギ総裁発言)をきっかけに、リスク資産は上昇し始めていた。春先から世界の市場の動きを振り返ると、5月初旬のギリシャのユーロ離脱懸念による混乱が欧米当局の対応で落ち着き、再び「ギリシャリスク」が浮上した5月初旬以前の状況まで金融市場が正常化しつつある。これが世界の金融市場の現状である。

・この観点で、4月末(=100)を起点に、金融市場がどの程度正常化したかを比較すると(21日まで)、一足先にボトムアウトした米国株(S&P500)は104.5と、4月末を約5%を超える水準まで上昇している(グラフ参照)。


・やや意外なことは、この夏場の戻り相場を牽引した米国株よりも、欧州株の5月以降のパフォーマンスが良いことだ。ドイツDAXは4月末対比で10%超上昇、南欧を含めた欧州株式全般(ユーロストック600)も7%超上昇している。債務問題の震源地で景気低迷が最も顕著な欧州で、危機再燃後に、株式市場の相対的パフォーマンスが最も良くなっている。当局による危機対応策や、これまでの領域を踏み越えたECBの大胆な金融緩和策の効果が大きいということだ。

・また、香港・韓国などの新興国株式(MSCI指数) 、国際商品市況のインデックスであるCRB指数は、現状ほぼ4月末の水準まで戻った(グラフ参照)。中国に対する景気減速への懸念が残る中で、欧米の株式市場に引っ張られ、「5月以前」の状況まで戻ったわけだ。為替市場で資源国通貨である豪ドル/円が、同様に「5月以前」に戻っているのも、これらの動きと整合的である。


・国際商品市況の中でも、先行して上昇していた原油や金などに遅れていた、銅や鉄などの産業用メタル価格も9月になって遅れて上昇して、こちらも現状4月末の水準まで戻っている(9月12日レポート)。

・そして、出遅れていた産業用メタル価格よりも、この流れに乗れず4月末の水準に戻っていないリスク資産として、日本株、中国株(上海総合指数)、原油、が挙げられる(グラフ参照)。中国の政治・経済リスクが、これらのリスク資産の頭を抑えているということだろう。


・中国の政治リスクについて評価は難しいが、9月21日レポートで述べた通り、誰もが中国の政治リスクに市場の目が向かっているが故に、中国リスクへの悲観論が行き過ぎている可能性がある。中国経済の減速は、欧州経済停滞がもたらした面が大きいとすれば、適切な対応策による債務問題の収束が、中国経済も正常化をもたらすシナリオも考えられる。これが実現すれば、先に挙げた「出遅れリスク資産」の巻き戻しに期待できる。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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