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「ネットの底なしの可能性に魅せられて」(Evernote・上野美香)――元MS日本法人会長古川享が聞き出す 今を駆けるスマート・ウーマンの本音

林 正愛 [アマプロ株式会社社長]
【第3回】 2012年9月27日
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自分がしていることで世の中が変わる

古川:SEの立場に留まらず、コンピューターやエンジニアリングに対する興味がどのように変わっていったんだろう。

上野:2000年頃にインターネットでビジネスが変わる、新しいビジネスモデルも生まれるというのが社会の大きなトレンドになり、それがメディアなどでも取り上げられて盛り上がっていました。仕事の仕方やビジネスそのものも変わる可能性がある、という本がたくさん出ていました。ITに関わっているものとして、自分が仕事をしている分野で大きな変化を起こす可能性があるんだ、これは面白そうだと感じました。

 でもプログラミングしかしていなかったので何をしていいかわからない。その時にITベンチャーに投資しているネオテニーという会社を知りました。エンジニア枠の採用があったので、そこを希望して面接を受けたところ、「エンジニアに限らずいろいろやることがある」ということで入社することに。

 SEでもベンチャー企業のサポートができると思って入ったのですが、入ってすぐにやった仕事は投資先ベンチャー企業の資金調達の支援。SEしかやったことがなかったので、システム図やプログラムは書けますが、その他はまったく…という状態で、単語すらわからない状況でした。ビジネスプランって何?というところからスタートでした。

 今思い返してもよく転職できたなと思いますが、チャンスをくれた先輩方や、ネオテニーの社長だった伊藤穰一さんには感謝の気持ちが尽きません。そこでの仕事を通して、事業をゼロから立ち上げ、人とお金を集めて事業を大きくしていく起業家に間近で接することで、ベンチャービジネスやコミュニティの肌感覚が分かるようになりました。

古川:ネオテニーで手がけた会社で大きくなった会社はありますか。

上野:シックス・アパートというブログソフトウェアの会社は、サンフランシスコ在住の創業者と一緒に会社を作るところから始め、日本支社も作りました。アメリカでも日本でも、ブログと言えばシックス・アパートというくらいブランドは浸透していたと思います。私は当時アソシエイトで間接的にサポートしていたんですが、ゼロから会社を作り、日本でブログが広く普及し、一般化していくのを目の当たりにできたのは貴重な経験でした。

 ネオテニーは本当にユニークな会社で、いろいろな経験ができました。私を採用してくれたのは渡辺千賀さんというパワフルな女性マネージャーだったのですが、彼女はいろいろなノウハウを持っていてかつ強烈な個性を持った人だったので、実際に一緒に働いた期間は短かったのですが刺激的で得たものは大きかったです。

 あの会社にいたおかげで、今でもつながっているベンチャー界隈の人やネットコミュニティの人はとても多く、私の起点になった会社とも言えます。最初は社員十数人でしたが、ピーク時には40人くらい、私が退職するときは3人でした。まさにジェットコースターのような体験でした。

 ベンチャー企業が必要としている支援は、お金だけでなく、人脈や経営アドバイス、営業先、事業パートナー候補など、いろいろなものがあり、そのために必要な人を集めました。広告代理店出身者もいれば、コンサルタントや投資銀行、商社出身者など、動物園みたいな感じで、国籍もいろいろでした。

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林 正愛
[アマプロ株式会社社長]

りん・じょんえ/BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ、ファイナンシャルプランナー、英検1級、TOEIC955点。津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業。British Airwaysに入社し、客室乗務員として成田―ロンドン間を乗務。その後中央経済社、日本経済新聞社にて、経営、経済関連の書籍の企画および編集を行う。2006年10月にアマプロ株式会社を設立。仕事を通じて培ってきたコミュニケーション力や編集力を活かして、企業の情報発信をサポートするために奔走している。
企業の経営層とのインタビューを数多くこなし、その数は100名以上に達する。その中からリーダーの行動変革に興味を持ち、アメリカでエグセクティブコーチングの第一人者で、GEやフォードなどの社長のコーチングを行ったマーシャル・ゴールドスミス氏にコーチングを学ぶ。現在は経営層のコーチングも行う。コミュニケーションのプロフェッショナルが集まった国際団体、IABC(International Association of Business Communicators) のジャパンチャプターの理事も務める。2012年4月から慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科で学んでいる。2児の母。

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日本経済の屋台骨を支えてきた製造業が苦しむ中で、さまざまな技術革新が生まれ、グローバル競争の新たな舞台となっているIT業界。いまやあらゆるビジネスがITを抜きにしては、競争力が立ちいかないのが現状だ。男性のイメージが強いIT業界で、実は多くの女性たちが活躍している。IT業界やそれに関わる仕事をして活躍している女性たちに焦点を当てながら、新しい競争の時代のリーダー像を紹介していく。
 

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