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9月25日 18時0分
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自民党総裁選で何が変わるか〜脱デフレが早まる可能性〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

・明日(9月26日)自民党総裁選挙の結果が判明する。衆議院総選挙が近づく中で、次の政権の枠組みにも大きく影響するため注目される。金融市場に影響を及ぼすのは、円高デフレへの対処などの経済政策である。総裁選挙に立候補する5名の候補者の発言から、今後の政策の変化が、経済動向や金融市場に及ぼす影響を考えたい。

・目立つのが、複数の候補者が、早期脱デフレの実現を意識し、日本銀行の政策に言及している点である。現在トップを走っていると報じられている石破氏は「英中銀のように物価情勢について、政府に報告する制度が参考になる」と発言している(表参照)。日銀は、ようやく2012年2月に+1%の物価目標を定めたが、これは日銀が自ら定めた数字で、更に目標実現の説明責任は極めて曖昧な状況である。


・法律に準拠した物価目標、それに基づく説明責任を日本銀行が持つと何が起こるか?日銀は、先進国で唯一デフレが続く経済状況に直面しても、なお米FRBと比べて、金融緩和強化に積極的とは言い難い。2010年秋口に「包括的金融緩和」という新たな対応を導入したが、それから2年が経過してもデフレは一向に解消しない。「デフレ脱却」と言い続けているが、これまでの金融政策が妥当だったのか否かの点検すら全く行われていない。

・政府が具体的な数値目標を定めて、その実現を日銀に求める仕組みが作られれば、金融緩和策が十分かどうかの議論の透明性が高まる。現在、日銀の対応が「市場の後追い」になりがちなのは、目標設定が曖昧なことが一因である。明確な目標がないと、成果を得るのに全力を出せないのはどの組織も同じである。明確な目標と説明責任を持つことは、難しい政策判断を行う日銀が独立性を保つためにも望ましい。

・日銀の金融政策について、5名の候補者の中でより踏み込んだ発言を行っているのが安倍氏である。「日銀の政策は十分とは言えない。思い切った金融緩和をし、みんなに『インフレだ』と思ってもらわなければいけない」(日経新聞9月15日)。(1)日銀の金融緩和不足がデフレの要因、(2)人々のインフレ予想に働きかけることが重要、という認識である。

・9月13日のFOMCで、米FRBが「雇用が十分回復するまで金融緩和を続ける」方針を明確に打ち出したが、新たな政策のポイントは、一定の目標を定めてそれまで金融緩和を続ける宣言である。このメッセージが、「デフレに陥らず景気回復が実現する」という市場参加者や人々の「期待」を強める。先ほどの発言を踏まえると、安倍氏は、金融政策の姿勢・メッセージが重要であることを、5名の候補者の中で、最も明確に認識していると推察される。

・同様に経済政策に関して、安倍氏の発言で注目されるのは、「デフレから脱却していなければ消費税を上げるべきではない」(日経新聞9月15日)、という発言である。2014年4月から消費税率引き上げが予定されているが、これが可能である経済成長の条件として、「名目GDP3%、実質GDP2%」が挙げられている。現状、経済成長実現と消費増税判断の関係はかなり曖昧だが、安倍氏は、脱デフレと成長率の回復を意識しており、これに拘り消費増税のタイミングを改めて判断する可能性がある。

・自民党総裁選挙で誰が勝利するかは分からないし、実際に消費増税が先送りになる可能性は高いとはいえない。ただ、政治主導で成長率とインフレ目標が明確に意識され、これまで実現しなかった政府と日銀が協調する仕組みが整う可能性がある。これが実現すれば、日銀がより強力な金融緩和策に踏み出すため、脱デフレの時期が早まるだろう。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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