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森達也 リアル共同幻想論

過熱する領土問題
譲渡することも一つの選択肢だ

森 達也 [テレビディレクター、映画監督、作家]
【第58回】 2012年9月28日
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領土問題の本質は身も蓋もない剥き出しの利権だ

 カタツムリになるよりはスズメになりたいとポール・サイモンが歌う『El Condor Pasa』(邦題は『コンドルは飛んでゆく』)の中盤に、以下のような歌詞がある。

  Away I’d rather sail away
  Like a swan that’s here and gone
  A man gets tied up to the ground
  He gives the word its saddest sound
  Its saddest sound . . . hmm

  ずっと遠くへ航海に出たい
  世界中を旅する白鳥のように
  人は大地に縛りつけられて
  世界で最も悲しい声をあげる
  とても悲しい声をあげる

 人が哀しい声をあげる理由は、鳥のように自由に空を飛べないからだ。地上では鳥のように早くは移動できない。海や川もあれば、険しい山脈などの起伏もある。国境だって簡単には超えられない。

 でもそれだけで「世界で最も悲しい声をあげる」だろうか。だって飛べない生きものは、人以外にもたくさんいる。ならばなぜ人は、カタツムリやオランウータンやイルカやミミズよりも、悲しい声をあげるのだろう。世界で最も悲しい理由は何だろう。

 土地の所有をめぐって争うからだ。

 ただし土地(テリトリー)をめぐって争う生きものは人だけではない。いやむしろ多くの生きものは、自分のテリトリーを必死に守ろうとする。野生に生きる彼らにとってテリトリーを失うことは、死を意味することもあるからだ。だから争いは常にある。でも殺し合いまでは滅多に発展しないし、多くの場合は先住者が侵入者を撃退する。

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森 達也 [テレビディレクター、映画監督、作家]

1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。


森達也 リアル共同幻想論

テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る!

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