ダイエット中のクライアントから「あの、どうしても夜遅くにお腹が空いたら、どうすればいいですか?やっぱり、何も食べない方がいいですよね?」と、どことなく後ろめたそうに聞かれることがある。身内だったら「うん、食べちゃだめ」と答えるところだが、食事カウンセラーとしては全力で拾いにいかなければならない。

「どうしてもの時は…」と言葉を続けるわけだは、申し訳ないけれど、これなら夜に食べても大丈夫ぎりぎり許される食事です、と声を大にしておすすめできるものはない。もしも「野菜スープ」といっても、それをできる人は少ないと思うし、仕事が終わった後に野菜スープを食べたいと思うビジネスマンにもなかなかお目にかかれない。となると、ぎりぎり許される食べ方をしてほしい、ということになる。

 もちろん、ただ肩を持って甘やかしているだけではなく、どうしても食べたいときには食べた方が良い、というのにはそれなりの理由がある。まず、お腹が空いて熟睡できないようなレベルであれば、それは良い睡眠が取れているとは言い難く、かえって代謝が落ちやすくなって、せっかくの我慢もダイエットにネガティブに働く。それに、良い睡眠がとれなければ、どうしたって翌日の仕事にも影響が出るはず…。

ポイントは「先に生野菜」「よく噛む」
“満腹まで食べる”はやめよう

 どうしても食べたいのであれば、消化しやすく、消化時間が短いメニューであることが選ぶ基準になる。揚げものよりは焼き物だろうし、肉よりは魚。そして、パスタよりはごはん、と、なんとなく“重くないもの”“がっつり系ではないもの”を選んでほしい。それに、同じお肉を選んでも、部位によってカロリーは大きく異なる。豚肉の場合、脂たっぷりのバラ肉を赤身が多いヒレ肉に変えると、それだけで7割もカロリーカットされるし、鶏肉は皮の部分を取ると4割もカットされる。

 でも、そうはいっても、食べたい!食べたい!と思うのがビジネスマンにとっての夕食・夜食かもしれない。それならば、サラダのような生野菜を先にいただくと良いだろう。消化や代謝に必要なビタミン、ミネラルをチャージすることができ、さらに食物繊維の働きで血糖値の上昇が緩やかになるので、脂肪の蓄積をある程度抑えてくれるからだ。

 そして、もうひとつにはよく噛むこと。よく噛む、とは一口30回を指すが、はっきりいって、一口30回も噛んでいたら、食卓での会話は成り立たないくらい時間がかかる。でも、まずは今噛んでいる回数を把握して、それよりも多く噛むことを意識してほしい。よく噛むことで満腹感が得られ、結果的に食事量が少なくなるし、消化器官への負担が少なくなる。それに、こういったダイエット目的でなくても、脳機能が活性化したりと、仕事においてのメリットもある。

 食べたい気持ちが抑えられないときには、食べ方を上手にコントロールするフォローが必要だ。量に関しても、“空腹を満たす”程度のものを目安にして、“満足するまで食べる”習慣だけはぜひ見直してほしい。