海底に眠る石油・天然ガスの開発に必要な洋上プラントの建造で、世界2強の一角を占める三井海洋開発。国内よりも海外で知られる個性派企業のトップに話を聞いた。

三井海洋開発社長兼CEO 宮崎俊郎<br />世界のトップランナーとして<br />海洋資源開発に貢献し続けるPhoto by Shingo Miyaji

──9月12日、マレーシアの国営石油会社ペトロナスより、最新型の洋上プラントの基本設計(プロジェクトの全体設計)を受注したと発表した。一般にはなじみが薄い石油・天然ガスの開発、それも難所で操業する海洋資源開発とはどのようなものなのか。

 ペトロナスより基本設計を受注した「FLNG」は、三井海洋開発、IHI、東洋エンジニアリング、オランダのCB&I社のコンソーシアムが手がける“小型の洋上天然ガス生産設備”だ。

 端的に言うと、洋上生産とは、海底にある石油や天然ガスを生産し(取り出し)、それらを船の上に吸い上げる。そして、各種の加工後は貯蔵し、別の輸送タンカーへと積み出す。すべて、船の上で作業を行う。見た目は、大型船の上に巨大生産設備を載せたものをイメージしてほしい。操業会社は、錨を沈めて、“たゆたう”ように海に浮かべて稼働させる。

──世界には、プロジェクトの主契約者として、洋上プラントの設計・資材調達・建設・所有・操業まで手がけられるコントラクター(請負業者)は4社しかない。

 当社は、もともとは1968年の創業だが、業績が低迷した80年代に1度解散している。その後、三井造船の100%子会社として再出発し、今日まで海洋の分野に特化して実績を積んできた。国内には、同じ業態のライバルは存在しない。顧客は、石油メジャーズや産油国の国営石油会社などが中心だ。

 新興の韓国企業は、大型船を造ることができても、“係留”の技術を持っていないので、まだ敵ではない。