片づけられない人から
卒業するためには

●他人が自分の物を勝手に触ったり、処分されたりするのは絶対許せない
●汚れたものに触るのはイヤだ
●優柔不断
●段取りを立てるのが苦手

 共通しているのは、「完全に片づけないといけない」という強迫観念です。自分ですべてを完璧に成し遂げたいと思っているので、他人の干渉は容認できません。「完全にきれいでいたい」と不潔恐怖があれば、汚れたものに触るのも苦手です。ますますゴミ領域に手を出せなくなります。

「失敗したくない」という回避的な考えは、優柔不断と同じことです。捨てようと思っても、「あとで必要になるのでは」という不安に捉われてしまいます。段取りが苦手な人は、片づけ自体が相当の負担になります。負担感は、「やりたくない」という回避行動につながり、完全主義の人特有の「先延ばし」「後回し」行動に出ます。

8割片づけた自分に合格点をあげましょう

 強迫性障害は薬による治療もあるのですが、前回触れた「認知行動療法」も有効とされています。認知の歪み、偏りを、客観的な情報をもとに修正していく心理療法です。
  ため込まないコツも、認知行動療法と根本は同じです。

 それは、「完全主義」を捨てて、「適当主義」を導入することです。「やれるところまでやってみよう」と、楽天的に臨むことです。

 少ししか片づかなくても、「やらないよりはまし」と、考え方を改めていきます。「やっぱり自分はダメだ」と挫折感、失望感が強いと、片づけるモチベーションがなくなってしまうのは、いうまでもありません。ますます、「片づけてもムダ」という思考になり、部屋は片づかなくなってしまいます。

  片づけは、エンドレスな作業です。8割片づけられれば合格、あるいは2割は物を捨てようという、割り引いた計画を持つと、失望せずに済みます。少しぐらい散らかっているほうがいいと、ちょっとだけ開き直るほうが、片づけにおいては現実的なのです。

(本稿は『今の働き方が「しんどい」と思ったときの がんばらない技術』西多昌規著からの抜粋です)


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