株式レポート
10月2日 18時0分
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世界の景気減速に歯止め〜一方、メディアで強調される悲観論〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

・9月半ばにFRBによるQE3が打ち出され世界の株式市場は大きく上昇したが、その後、米国市場を含めて株高は一服している(グラフ参照)。(1)欧州債務問題への懸念の高まり、(2)世界的な景気減速に歯止めがかからない、これらが市場の重石になっている。


9月21日レポートでも紹介したが、現在起きている経済の落ち込みが非常に大きければいくら政策対応が行われても景気減速に歯止めがかからない。であれば、企業業績も回復せず、「期待先行」で実現した株高も続かない。9月後半から、中国リスク台頭や欧州発のニュースでそうした疑念が高まっている。

・これらのリスクが残っているのは否定しないが、実際に、足元の世界経済の落ち込みはそれほど深刻なのだろうか?本日(10月2日)の日経新聞では「世界景気 続く不透明感」という記事が掲載されている。昨日(10月1日)発表された日銀短観で企業景況感が悪化し、そして中国や欧州の景況感指数が「低迷」していることが、最近の日本株低迷とあいまって悲観的に伝えられている。

・ただ、景況感がやや悪化した日本はともかく(それでも小幅低下に止まっている)、製造業の景況感指数は、米国、欧州、中国ともに、いずれも9月は若干ながらも持ち直している(グラフ参照)。水準がまだ低いため経済が「低迷」しているのは確かだが、懸念されているような景気の一段の落ち込みにはなっていない。


・その中でも、昨晩発表された米国ISM製造業景況指数は51.5と、2012年5月以来の水準まで改善している。世界経済を取り巻く「不透明感」が残っているのは事実だが、メディアで悲観的に伝えられるほど、欧州問題などの悪材料が経済活動の落ち込みをもたらしているわけではない。

・米国の製造業景況感は売上や利益動向を反映して動くが、2012年春先以降、欧州や新興国経済の減速によって、2010、11年の景気停滞よりも大幅な低下を余儀なくされた。ただ、9月には、景気変動に最も敏感な受注判断が改善するなど、持ち直す兆しがでてきた。これはまずは米国の消費・住宅需要が底堅いことが一因である。更に、中国や欧州の製造業景況感の持ち直しが示すように、2012年前半の世界的な景気減速に歯止めがかかりつつあることが、米国の製造業に及び始めたことも影響しているとみられる。

・足元で、米国を含めて、「景気減速」を理由に主要企業の売上・業績予想の下方修正が続いているが、これは夏場までの景気減速が、ようやく企業経営者や企業アナリストの想定に反映された面が大きいのではないか。マクロ指標が現す企業景況感の推移を素直にみれば、夏場まで停滞していた世界経済は、新興国を含めて過去2年同様秋口に下げ止まり、緩やかながらも回復に向かい始めている。

9月12日レポートで、銅やアルミニウムなどの価格上昇が始まったことが、世界的な資源市場の需給改善や経済の下げ止まりを示していると指摘した。同じ兆候が、足元の米欧中の企業景況感の下げ止まりでも確認されている。こうした中で、政治リスクへの懸念や市場の後追いでメディアが発する悲観論が高まる現状は、出遅れが目立つリスクアセットにとって大きなチャンスである。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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