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インフレに恐れを感じる方のご意見〜中国はインフレで疲弊?〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

9月28日レポートでは、リーマンショック後、その震源地であった米欧と比べて日本株の停滞が続いている一因として、2009年から名目GDPがほとんど増えていない点を紹介した(グラフ参照)。そして「デフレ」が一向に解消されないことが名目GDPの停滞に大きく影響していると指摘した。


・筆者自身は、日本にとってデフレが最も大きな問題であり、これが普通の国のように正常化することが重要だと考え、同様の考えを度々レポートでも紹介してきた。これらに読者からの様々なフィードバックを頂戴しているが、こうした考えに「嫌悪感」を持つ方からの意見もそれなりにある。

・経済事象に対して様々な考え方がありうるのは否定しないが、それにしても「デフレよりも、インフレになると大変」と心配される方の思いはかなり根強いようだ。特に、世界各国で金融緩和を強化され、そうした中でデフレ克服を一向に実現できない日銀への政治的圧力が再び高まっているためか、将来インフレになるという「恐れ」を感じる方が、最近増えているように思われる。

先日のレポートに対しても、「中国のように名目GDPが大きく上昇しても、物価高で国内経済が疲弊し株価上昇にはならない」「都合の良いグラフを作り、レポートの正当性を示している」というご意見を頂戴した。

・まずは、米日欧などの先進国と、「成長ステージ」が異なる中国など新興国を単純に比較することは、そもそも難しい。日本については、米欧など先進国と比較できる面が多いため、それらと比較するのは自然である。「都合が良いグラフ」を意図的に作っているわけではない。

・一方、中国本土株が、2009年以降日本株同様に停滞しているのは確かである。これにはいくつか原因が考えられるが、中国の長期的な成長期待が低下していることが、中国株下落の主因になっていると考えられる。一方、中国で、1年前までにセンセーショナルに報道された、「インフレの行き過ぎ」が、経済停滞の主たる要因になった面はかなり小さいだろう。

・つまり、中国は、2000年代に+10%近い高成長が続いていたが、2010年代になって経済成長率が+7%台の安定成長に移行する局面に入った。同時に、企業や政府による投資の伸びを抑制、代わりに家計の所得・消費の伸びを高めるという、分配構造を変える動きも進んだ。この過程で、かつて市場で想定された、企業利益の成長期待が下方屈折した。更に2012年前半には、欧州経済の停滞で減速圧力が高まり、更に政治リスクへの懸念が重なった。

・もちろん、インフレが高くなり過ぎれば、民間の消費・投資の意思決定に悪影響がでるなど、「インフレのコスト」は存在する。ただ、2011年に中国の消費者物価は一時的に+6%台まで上昇したが、1年経過し食料品の価格上昇が落ち着いてみると、+2%前後と極めて落ち着いた状況である(グラフ参照)。


・中国のように総需要が拡大しやすい国が、一時的に5〜6%程度のインフレになっても、かつてオイルショック時に多くの国が経験したように経済活動が広範囲にわたり阻害されるわけではない。むしろ、リーマンショック後に中国が直面しているリスクは、インフレ率が上がらない景気停滞から脱せず、そのため株安が続くことである。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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