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新聞・週刊誌「三面記事」を読み解く

逃げたキリンは死んだ
本当は、草原を走りたかっただろうに

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第4回】 2012年10月5日
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 新聞とテレビのニュースが“動物園”か“動物の赤ちゃん”を報じたら、そのときはネタがない――、と相場が決まっている。よほどの珍事でないかぎり、だ。

 とりわけ週末には動物ネタが多いが、ときにはあえて“ヒマネタ”で紙面を埋めておき、その翌日にスクープを持ってきたりもするから動物ネタは要注意だ。今回はそんなこともなかったが。

 先週、イタリアの都市イモラのサーカスから逃げ出したキリンが街じゅうを走りまわり、大騒動になった記事が掲載された。これは、珍事だ。何しろ、体長三メートルで体重が九二〇キロもの大型動物が街じゅうを逃げまわったというのだから。

 逃げたキリンは四才のオスで、アレクサンドルという名前がつけられていた。

 アレクサンドルは、四時間にわたって逃げまわり、その間に数台の車を破壊したらしい。やるな、アレック。

 私はこの手の話が好きなので、不謹慎をわきまえず面白がっていたら、第七〇代横綱・日馬冨士誕生と小沢一郎の“検察審査会”結審の記事の下に、福島県喜多方市の女性が熊に襲われ死亡した事件も報じられていた。

 先週は、どうにも動物ネタが多かったような気がする。

 JR東海では、新幹線の信号機器ケーブルをネズミにかじられ、停止信号が表示されっ放しになったという記事があったり、多摩動物園(東京都日野市)では高齢になったチンパンジーにコンドロイチンのサプリメントを飲ませているとか、井の頭自然文化園(武蔵野市)でも、やはり高齢のゾウに養命酒を匂い付け程度に混ぜた特製スポーツドリンクを飲ませて長寿を図っている、というような記事もあった。

 また、今年は、サバが豊漁を通り越して“獲れすぎ”らしい。

 テレビも、たまたまつけたワイドショーや夕方のニュースが動物ネタを映し出していた。九月二六日の『スーパーJチャンネル』では、キリンの“婿入り”に密着したニュースが流れ、三〇日の『噂の東京マガジン』は、神奈川県鎌倉市で大量発生したタイワンリス被害をレポートしていた。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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三面記事は、社会の出来事を写し出す鏡のような空間であり、いつ私たちに起きてもおかしくはない事件、問題が取り上げられる。煩瑣なトピックとゴシップで紙面が埋まったことから、かつては格下に扱われていた三面記事も、いまでは社会面と呼ばれ、総合面にはない切り口で綴られるようになった。私たちの日常に近い三面記事を読み解くことで、私たちの生活と未来を考える。

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