自分の行動を記録してチェックしてみよう

 強迫観念に苦しむ強迫性障害は、神経伝達物質セロトニンの異常であると考えられています。セロトニンは不安をコントロールする物質ですが、強迫性障害の患者さんでは、うつ病と同じように、脳内のセロトニンの活動性が低下しているという仮説があります。

  この仮説を裏づける研究が、日本の放射能総合医学研究所から発表されています。脳の代謝を調べることができるポジトロンCTを用いて、セロトニンを細胞の中に取り込むたんぱく質を調べました。その結果、強迫性障害の患者さんのほうが、健康な人に比べてセロトニンを細胞の中に取り込むたんぱく質が減少していたのです。この発見によって、脳内のセロトニン活性の低下が、強迫性障害の原因に強く関与している脳科学的な証拠が得られたことになります。

 強迫性障害とまでいかなくても、強迫「傾向」のある人は、薬を飲まなくては治らないのでしょうか?

 そういうことはありません。

 自分の考え方ひとつで、マイナスの完全主義を弱めることは可能です。具体的には、行動療法の要素を取り入れた「行動モニタリング」という手法です。
手洗いならば、毎日の手洗い時間を記録していくと、ある程度のところで歯止めがかかる事例が多く見られます。自分の行動をモニタリングしていくことで、セロトニンの働きが活発になっていくことも、わかってきています。

「残業しないとなんとなく不安」

  そう感じていて残業をやめられないのは、セロトニン機能の低下があるからかもしれません。残業時間を記録して、見直してみる機会を作ってみてはいかがでしょうか。
  それを見ながら「残業は2時間に抑える」「週に1、2回は定時で帰ろう」など、振り返りの機会ができれば、それだけでも大きな価値があります。