株式レポート
10月9日 18時0分
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高値超えを窺う米国株〜金融緩和の効果はこれから〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

・米国株(S&P500指数)は、再び年初来高値に接近している。9月半ばにFRBが強力な金融緩和策(QE3)に踏み出し大幅高となった直後は、材料出尽くしで軟調に推移したが、先週切り返し再び高値越えを窺う動きをみせている(グラフ参照)。


10月4日レポートで、9月分の米国の経済指標が揃って改善、春先から減速していた米国経済が2012年も秋口から復調に転じていることを紹介した。先週末(10月5日)に発表された、9月雇用統計で示された雇用者の増加幅は、既に発表されている消費者心理や企業景況感ほどは明確な改善はみられなかった。

・一方、過去数字の改定・失業率の大幅低下をめぐり、大統領選挙を控えた政治的な思惑から、雇用統計に関して本質から外れた部分が大きく報道されている。投資判断の材料として重要な点は、4―6月に+10万人/月以下まで減速した民間雇用者数が、7―9月以降再び+10万人/月を上回るペースに、緩やかながらも改善していることである(グラフ参照)。


・これで、雇用統計を含め、9月分の主要な経済指標がそろって米経済の改善を示したことになる。こうした状況は、2012年初以来ほぼ半年振りである。先週米国株が再び上昇に転じたのは、この米国経済の復調を素直に反映している。

・今週から米主要企業の7―9月期決算が始まるが、事前のアナリスト予想の集計では前年対比で小幅減益が予想されている。こうした「減益決算」を警戒する声もあるが、先に説明した主要経済指標が揃って改善している状況を踏まえれば、ネガティブサプライズとなるリスクは限定的である。

・また、東京で48年ぶりに総会が行われるIMFなどによる経済見通しの下方修正が続いており、これが伝えられた先日(10月8日)の米国市場で悪材料になった、と報じられている。これらの景気見通しの下方修正は、中国など新興国の減速を反映している。中国については9月21日レポートで説明したが、現状のアップデート等を別の機会で行いたい。

・いずれにせよ、投資判断として重要な点は、こうした経済見通しの下方修正は、夏場に起きた経済指標の減速を反映させた面が大きい点である。つまり、これらは新たな売りの材料とはいい難い。一方、こうした予測機関の経済予想においては、足元の米国などの速報性が高い経済指標の改善は、ほとんど反映されていない。新たな情報に乏しいニュースが、もし市場の悪材料となっているなら、むしろチャンスかもしれない。

10月4日レポートで指摘したが、ECBやFRBの追加金融緩和の効果がでてくるのはこれからである。その成長押し上げ効果がでる前の段階で、既に米国経済が回復に転じる兆候がみえる現在の状況は、リスク資産の投資タイミングとしてかなり貴重に思われる。

・一方、日本における相場解説をみると、株式市場の停滞が続いているためか、中国などの巡るリスクが強く指摘されている。これには、9月18日レポートでも説明したが、金融緩和の効果に疑念を持つ市場関係者の思惑が未だ強いことも影響していると思われる。こうした慎重な市場心理は、今後和らぐ展開を予想している。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)

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