感情由来の価値観に負けないために

 しかし、時代はうつり変わっていき、事業戦略もそれに合わせて変わる必要があります。特にここ10年、ネットの台頭やグローバル化によって、仕事や世の中のしくみは急激なスピードで変化しつつあります。

 その中で、組織人事戦略も当然変化させるべきなのですが、ここでも経営者や社員達が長年慣れ親しんできた人や組織に関する「持論」とハレーションを起こす可能性があります。

 過去においては、技術者が一人前になるのに十数年かかるということから、一体感を重視し、長期勤続をよしとしてきた社風が合理的だった会社も、時代が変わり、技術が陳腐化するスピードが速まっていけば、本来は外部流動性の高い「出入り自由」な組織風土の方が合理的かもしれません。

 しかし、しみついた価値観や志向は感情と結びついているために、よほど強い力でなければ対抗できません。彼らを説得するのはここでもやはり普遍的な「原理・原則」からの合理的な説明がベースになることでしょう(もちろん感情への配慮も必要です)。

 このように、人事担当者、人事部が「強い人事」になることで、はじめて企業に貢献できることはたくさんあります。それを次ページで見ていきましょう。