春と秋に旬を迎える「しらす」。

 特に秋のしらすは脂が乗っていて、滋味豊かな最高の味わいです。

カルシウム豊富な干物界の出世魚「しらす」<br />和紙状のたたみいわしは江戸っ子の定番おかずしらす茗荷
【材料】釜揚げしらす…30g/茗荷…2本/醤油…大さじ1
【作り方】 ①茗荷は斜め切りにし、醤油に漬けておく。②釜揚げしらすの上に、1を乗せる。御飯、お粥、豆腐などに乗せても。

 流通が発達した現代では、透明でもっちりした生のしらすを都会で味わうことも不可能ではなくなりましたが、足が早すぎる生しらすは、少し前までは漁場でないと味わえない希少品で、釜揚げをいただくのがせいぜいでした。

 「しらす」は漢字で「白子」と書きます。

 語源は、釜ゆでして浜に広げて干した状態が、大岡裁きや遠山の金さんでおなじみの、お白州に似ているからだと言われています。

 吟味の場であるお白州は公正な場でなければならず、清廉潔白をあらわす白い砂利を敷き詰めたそうですが、なるほど、しらすの波打つさまによく似ています。

 余談ですが、江戸時代の牢屋を現代の刑務所のようなものと思われている方が大勢いらっしゃいますが、牢屋はあくまでお裁きを待つ間の留置場でしかありませんでした。

 軽い罪なら罰金や百叩き、手鎖《てぐさり》をつけたまま数十日不自由な生活を強いられる、など。

 次いで財産没収や所払い、重くなると遠島(島流し)や各種死罪となり、いずれにせよ、刑が確定したら牢屋を出ることになり、罪人を養っては(?)くれません。