経営コンサルティング・ITサービス・アウトソーシングのグローバル大手、アクセンチュアは、スマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイスを用いて企業の経営革新を支援するモビリティ・サービスの展開をグローバルレベルで強化している。大手携帯電話機メーカーのノキアから移管したOS開発部隊数千人を核に、企業のモビリティ戦略策定から、スマートデバイス向けアプリケーションやプラットフォームの設計・構築、実際のサービス運用にまでおよぶ、エンド・トゥ・エンドの包括的なサービスを展開していく。日本では8月に清水新(あらた)氏がモビリティ サービス グループ統括に就任し、企業向けにモバイルデバイスを活用したソリューションの提供、スマートデバイス向けアプリ開発ベンダーに対し、テスト工数・コスト削減を目的としたマルチデバイスの実機・ネット接続環境をリモートに提供するTaaS(Testing as a Service)の展開、位置データやセンサーデータを活用するM2M(Machine-to-Machine)領域での経営向けデータ分析の提供の三つの領域でサービスを展開する。「モビリティ・ソリューションによって、グローバル先進企業に比べ20年遅れている日本企業の経営モデルをキャッチアップさせることができる」と意気込む清水氏に、同事業の日本におけるインパクトについて聞いた。(聞き手 ダイヤモンド・オンライン 魚谷武志)

エンタープライズ・モビリティの3つのステージ

――スマートデバイスとソーシャルメディアが牽引するコンシューマライゼーションに、企業システムとしてはどのような対応が必要とされていますか。

エンタープライズ・モビリティで、20年遅れた日本企業の経営モデルをキャッチアップさせる――アクセンチュア、モビリティ サービス グループ統括、清水新氏に聞くしみず・あらた
アクセンチュア株式会社
モビリティ サービス グループ統括 経営コンサルティング本部戦略グループ エグゼクティブ・パートナー。97年成蹊大学工学部卒。同年アクセンチュア入社。2005年にエグゼクティブ・パートナーに昇格。12年モビリティ サービス グループ統括に就任。

 スマートデバイスとソーシャルメディアは、市民やエンドユーザーのコミュニケーションを変え、社会やビジネスに大きなインパクトを与えています。一つの例ですが、ダイエット・コークにメントスを入れすさまじく噴き上がる模様を映した動画がSNSを通じて話題になり、3週間で400万人が視聴し、結果としてそれぞれの商品の売り上げを大きく伸ばしたという事例もあります。こうした動きに追随できない企業や組織は、「ソーシャルディバイド」(社会と隔絶した存在)になっていきます。

 日本で行われた調査でも企業内でスマートデバイスを導入を検討する動きは、2011年の段階ですでに3分の2の企業でみられます。積極的に入れたいが、どうしたらよいか分からないというところも多いようです。我々は、エンタープライズ・モビリティは3つの段階を経て発展するだろうと予測しています。