『ストレスフリー超大全』の著者で精神科医の樺沢紫苑さんは、借金玉さんの著書『発達障害サバイバルガイド』について、「このリアリティ、具体性は当事者の経験あってのもの。精神科医や研究者には、絶対に書けません」と絶賛しています。
今回はYouTubeで実現した2人の対談「発達障害サバイバルライブ!(動画)」の内容を抜粋・編集してお届けします。(撮影/疋田千里 初出:2021年2月25日)

精神科医が断言する「発達障害の子に効果的」な2つの超シンプルな習慣【書籍オンライン編集部セレクション】

(視聴者の質問)
「子どもが発達生涯と診断されましたが、現在のところ無治療です。将来のために、今何をすればいいでしょうか? 運動が嫌いで、スポーツをあまりやりたがらないのですが……」

運動か読書、やれそうな方をやってみよう

(二人の回答)
樺沢紫苑(以下、樺沢) 現在のところ、発達障害に科学的に効果があるといわれているのは運動だけなんです。有酸素運動、武術にダンス……あとは楽器の演奏なんかも効果的とされています。理由は、人間の脳の神経細胞の数は生まれつき決まっているのですが、運動によって神経ネットワークが刺激され、増大するから。人間の体のうち、脳だけは思春期を経ても、40代50代になっても、刺激があれば発達を続けるのですね。

 借金玉さんは運動はされていますか?

借金玉 うっ、2年前まではよくやっていたのですが…。やらなくなる、そのうちにあきらめることが一番よくないですよね。

樺沢 そうですね。運動にも好き嫌いがあって、有酸素運動は全くダメだけど、球技は得意という人もいます。この方のお子さんの場合も、いろいろやらせてあげて、続けられるほど好きなものが見つかるといいですね。

精神科医が断言する「発達障害の子に効果的」な2つの超シンプルな習慣【書籍オンライン編集部セレクション】樺沢紫苑(かばさわ・しおん)
精神科医、作家
1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴのイリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。「情報発信を通してメンタル疾患、自殺を予防する」をビジョンとし、YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動している。最新刊は『精神科医が教える ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)。シリーズ70万部の大ベストセラーとなった著書『学びを結果に変えるアウトプット大全』『学び効率が最大化するインプット大全』(サンクチュアリ出版)をはじめ、16万部『読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)、10万部『神・時間術』(大和書房)など、30冊以上の著書がある。
YouTube「精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル」

借金玉 脳への刺激という観点なら、僕は本を読むことを推奨します。大学までは、あらゆる勉強を日本語でやるはずなので、どんな本でもいいからたくさん読んでおくといいですよ。たとえ学校で友達ができなくたって、読書ができれば「逃げ場」が得られます。僕の場合はそうやって読書に没頭することで、読書量も読解力も、飛躍的に伸ばせたと感じています。

樺沢 発達障害の有無にかかわらず、読書はすべてのお子さんにお勧めしたい活動です。ある研究では、子どものころの読書量と成績の相関関係が立証されています。読解力があれば、自ら知識をインプットし、何か問題に直面した時に解決の糸口とすることができますからね。

 読書は集中力のトレーニングになります。ADHDの方なら、5~10分続けて読むことも難しいはず。お子さんともなればなおさらです。それが30分くらいになったらすごいことですよ。好きなジャンルを見つけて「座って読む」を意識しながら、徐々に時間を伸ばしていくといいかもしれません。

 発達障害は先天性の病気で根本的な治療は難しいとされています。しかし、私は様々な工夫で改善することは十分にできると思っていますし、実際によくなっている患者さんもたくさん見ています。

 アメリカの研究では、20歳までに発達障害と診断された子どもを追跡調査した結果、およそ半数が普通に働き生活をしていたというデータもあります。別のデータでは、子どものADHDの有病率は5パーセントなのに大人になると2.5パーセントに下がっている。治らないのなら、数が減っているのはおかしいですよね? 良くなっている人が相当数いるということは、ポジティブな事実として伝えておきたいですね。

借金玉 そこは希望をもっていいと思います。僕の実感ですが、10代はめちゃくちゃだった友人に、30歳を過ぎて会ってみると「お前、ずいぶん発達したな!」というケースがざらにあります。

精神科医が断言する「発達障害の子に効果的」な2つの超シンプルな習慣【書籍オンライン編集部セレクション】借金玉(しゃっきんだま)
1985年、北海道生まれ。ADHD(注意欠如・多動症)と診断されコンサータを服用して暮らす発達障害者。二次障害に双極性障害。幼少期から社会適応がまるでできず、小学校、中学校と不登校をくりかえし、高校は落第寸前で卒業。極貧シェアハウス生活を経て、早稲田大学に入学。卒業後、大手金融機関に就職するが、何ひとつ仕事ができず2年で退職。その後、かき集めた出資金を元手に一発逆転を狙って飲食業界で起業、貿易事業等に進出し経営を多角化。一時は従業員が10人ほどまで拡大し波に乗るも、いろいろなつらいことがあって事業破綻。2000万円の借金を抱える。飛び降りるためのビルを探すなどの日々を送ったが、1年かけて「うつの底」からはい出し、非正規雇用の不動産営業マンとして働き始める。現在は、不動産営業とライター・作家業をかけ持ちする。最新刊は『発達障害サバイバルガイド──「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』