株式レポート
10月15日 18時0分
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悲観的に報じられる中国リスク〜メディアが軽視する点こそ重要〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

*中国の景気減速に対する、市場の懸念は依然大きい。尖閣諸島を巡る政治問題の先行きが見通せず、そしてこの悪影響が自動車販売の悪化などの数字で先週確認され、大きくメディアで報じられ悪材料となっている。日本株市場では、中国関連銘柄の停滞が伝えられている。

*週末も、中国リスクを強調する報道が続いた。10月13日(土)に中国の9月分の輸出入統計が発表されたが、これについて日経新聞夕刊は以下のように伝えている。冒頭で「日本と中国の貿易が縮小」で始まり、そして「日中間の貿易総額は1〜9月に前年同期比1.8%減と1〜8月よりも減少幅拡大。日本からの輸入(9月)は前年同月比9.6%減、2カ月連続で1割前後の減少」(グラフ参照)


*そして、「自動車や家電など日本製品の不買運動が広がっており、日本からの部品などの輸入が減っている模様」と総括している。ただ、既に判明した自動車の売上の急減からすれば、当然の結果であろう。10月も日本からの輸入は落ち込むだろうから、来月の記事では「3ヶ月連続で1割前後の減少」と報じられるだろう。

*一方、「中国リスク」を考えるのであれば、既に落ち込みが明らかな対日貿易動向より、中国の輸出入全体の動きが重要である。年初からの欧州経済失速が中国などに及び、それが世界の景気減速をもたらしているからだ。この傾向がどう変化しているかが、今後の世界経済そして日本経済にとっても肝要である。

*だから、中国経済の状況を示す有力なデータの一つである、中国全体の輸出は普段は日経新聞でも多くのスペースを使って報じられる。ただ、今回の記事では対日貿易動向がフォーカスされあまり取り上げられていない。「9月の中国の輸出全体は+9.9%」とだけ言及、そして「1〜9月累計で輸出は前年同期比7.4%増、(途中省略)政府目標である10%前後の貿易量増額実現は困難」と悲観的なトーンで記事は終わっている。

*実際には、9月単月でみれば中国の輸出は前年から約+10%増えており、「政府の目標程度増えている」とも評価できる。中国リスクを悲観的に伝える記事全体のトーンが影響して、ネガティブに解釈されている。

*ポイントは、この中国からの輸出の動きの変化である。10月10日レポートでは、7月をボトムに、8,9月と韓国、台湾の輸出(季節性を調整した数字)が2ヶ月連続で増えていることを紹介した。そして、先週末判明した9月分の中国輸出も、同様に8,9月と2ヶ月連続で増えた。つまり、中国を含めたアジア地域の輸出は、欧州経済減速の余波で7月まで減少が続いたが、下げ止まりつつあるようにみえる(グラフ参照)。


*まだ、改善に転じたかどうかは微妙だが、夏場の終わりと伴にこれまでの輸出減速に歯止めがかかっていることを示す結果である。米国経済の復調や、欧州経済の落ち込みが和らいでいることが、アジアからの輸出減速に歯止めをかけている。メディアが分かり易いテーマ(日中の政治リスク)に集中した時に報じられない事実こそが、投資判断の材料として重要なインフォメーションになる。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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