新興国投資 2012年10月19日

ラオス、小さな株式市場のビッグな可能性
中国による鉄道投資はGDPの9割に相当!経済は飛躍前夜?

「ユニクロの26分の1」の市場規模、だから夢がある

 世界で最も小さい株式市場のひとつが、東南アジアのインドシナ半島中央部の国にあります。人口620万人の国、ラオスの首都ビエンチャンにある、ラオス証券取引所です。上場企業は2社のみ。昨年1月に取引を開始したときに2社が上場しましたが、それから1年半以上たった現在(10月10日)も2社だけという状況が続いています。

ラオス証券取引所(Photo:©WorldStock.JP)

 上場2社は、ラオスの最大手の銀行と国を代表する水力発電の会社。この2社の時価総額の合計は約700億円(10月10日終値)になりますが、これがラオスの株式マーケットの市場時価総額なわけです。じつに小ぶりです。

 過小な時価総額は、ラオスのようなフロンティア・マーケットでは、それほど珍しい現象ではないのですが、フロンティア・マーケットになじみがない方のために、これがどれだけ小さいのか、よく分かる比較例を出したいと思います。たとえば衣料品の「ユニクロ」を展開するファーストリテーリング(東証1部、9983、グループ社員数1万5915人)はよく知られた企業ですが、その時価総額は1兆8369億円(2012年10月10日終値ベース)です。ラオスの市場時価総額はその約26分の1しかないのです

 これだけ聞くと「やっぱりアブねー」といった声も聞かれそうですが、株式投資にとっては、大きいことは必ずしもいいことばかりではありません。いや、米国を代表するアップルだって、フェイスブックだって、最初は小さい企業としてスタートしました。小さいからこそ将来が楽しみということも出来るのです。ラオスの上場2社が、この先、投資の世界で「綱取り」を実現しないとは限りません。

資源高を背景に急成長

 実際、ラオスという国は高度経済成長期の最中にあります。名目GDPは約78.91億ドル(約6150億円、2011年IMF推計)で、世界183か国では135位に甘んじていますが、毎年、新しいビルが建ち、ショッピングセンターが増え、街中を走る自動車の数はみるみる増えています。世界的に資源価格が高く推移するなか、金や銅などの鉱物資源の輸出が伸びました。鉱山開発や水力発電にも外国投資が流入しています。ラオス人のふところも温かくなっているところなのです。

 2001年以降の10年間で、名目GDPは平均で約7.1%という驚異的な成長を経験してきました。この先、2、3年は6~8%の高成長が続くとみられています。一人当たりGDPでみると、2000年に300ドルだったものが、2010年には984ドルへと3倍以上の伸び。すごいでしょう?

図版作成/WorldStock.JP

日本にはなくて、ラオスにはあるもの

 もはや長期後退期に入ったといわれる日本ですが、経済的にはデフレ、人口高齢化、外国での競争力低下、政治力低下など、問題は山積み。国の将来を考えるうえで、もっとも深刻なのは高齢化です。働く人が減り、政府の歳入が減り続け、他方で年金や保障を受ける人が増え続けたら、どんな国でもいつかは破綻の危機が訪れます。この人口の年齢構成を考えたとき、世界的にも優等生といえるのがラオスなのです。同国では30歳以下が国民の約68%を占めます。若い世代がこの先、労働者となって生産と消費に貢献するわけです。将来的に内需が成長する末広がりスタイルといえます。

 日本にはなくてラオスにあるもう一つの強みは、中国による巨大投資。ラオスから見た中国は、市場主義原理を導入して経済改革に成功した“先輩”。また実際に投資をして面倒もみてくれる“親父”でもあります。2001年以降、中国との国境に近いエリアで、中国企業誘致等を目的とした経済特区が設けられ、カジノなどが盛んに建設されてきました。中国企業の鉱物関連の投資も多いと言われています。

 中国からの投資で極めつきといえるのが、高速鉄道計画です。2011年4月、雲南省昆明からラオスを縦断して、タイ、マレーシアにいたる、高速鉄道建設が承認されました。全長421キロ、総工費70億ドル(約5460億円)のうち、中国側が70%を負担します。この大工事の予算はラオスのGDPの約9割に匹敵します。もちろん中国に重要な交通インフラと膨大な国土の管理をにぎられるので安全保障的には問題ありなのですが、巨大投資が経済と社会に与えるメリットは、決して小さくありません。

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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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