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富士山の11倍の高さからスカイダイビング!
生身の身体で音速の壁を超えた男

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第6回】 2012年10月19日
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 もはや、これは“やんちゃ”を通り越して、人間離れと呼ぶにふさわしい所行かもしれない。高度三万九〇〇〇メートル上空からのスカイダイビング、である。

 三万九〇〇〇メートルという高さがどのくらいかというと、単位をキロに置き換えると三九キロ。単純に考えて富士山のざっと十一倍で、すでに成層圏内だ。大型旅客機が飛ぶ高度の約三倍ほどになるのだそうだ。

 映像を見ると、成層圏からは地球が球体であることがはっきりとわかり、淡い緑や茶褐色の色あいから、森林地帯や砂漠の広い分布も見て取れる。その高さから、オーストリア出身のフェリックス・バウムガートナーは前代未聞のスカイダイビングに挑戦した。

 場所はニューメキシコ州の砂漠地帯。
  宇宙服を着衣し、成層圏まで気球でのぼってのスカイダイビングだった。

 彼は、これまでにも、リオデジャネイロのキリスト像や、台北の高層ビル等々からスカイダイビングを成功させており、たびたびニュースで報じられていた。ちょっとした有名人ではあるのだ。

 命綱なしで高層ビルをよじ登り、そのたびに逮捕される“スパイダーマン”ことアライン・ロバートと並び、やんちゃなやっちゃ、という印象を持っていたが、フェリックスの今回の挑戦は、もはや“やんちゃ”の一言で片づけるわけにはレベルが違い過ぎるような気がする。

 宇宙服に包まれているとは言え、生身の人間が成層圏から地上に降り立つのだ。
  そして、彼は、その落下速度において、音速を超えた。

 気球で高度三万九〇〇〇メートルに達したフェリックスは専用のカプセルからダイブを敢行し、約四〇秒後に……、物理の得意な人は計算してみるといい。八〇キロの物体を落下させたとき、四〇秒後には時速何キロに達しているかを。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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