電機業界大手の2009年3月期第3四半期に係る決算短信が出揃った。その結果は〔図表1〕の通りであり、( )内の金額は09年3月期で各社が予想している当期純利益だ。

 これを見ると、各社がいかに不況に喘いでいるかがわかるだろう。今回から数回に渡って、前回までリサーチして来た自動車業界と共に暴風雨圏に突入している電機メーカー各社の現状と、その「生き残り戦略」について、分析して行くことにしよう。

 これらが公表されたとき、筆者はまず1年前に公表された決算短信の日付けと比べてみた(〔図表1〕参照)。

〔図表1〕電機各社の業績比較
図表1

 決算短信については、東京証券取引所のウェブサイトで「平成21年3月期第3四半期決算短信発表状況の集計結果について」が公表されている。それによると、09年3月期第3四半期の決算に係る平均所要日数は35.7日であり、総じて所要日数が長くなったとされている。

 年末年始を考慮しても、〔図表1〕においてパナソニックとシャープに数日の遅れ(グレーで染めた箇所)が認められるのは、「決算の内容について社内で何か揉めたのだろうか?」と、“下衆の勘ぐり”が働いてしまう。

 経営分析は、なにもB/S(貸借対照表)やP/L(損益計算書)に計上された金額だけを相手にすればよいわけではない。実は、開示書類に記載される日付けも重要な情報源になるのだ。

 さて、今回はそのような下衆の勘ぐりをするまでもなく、電機各社のなかでも「堅実経営」というイメージが強いシャープについて、分析することにしよう。わが家には液晶テレビ「AQUOS」が2台あるほどのシャープびいきだからである。