株式レポート
10月23日 18時0分
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80円台に達したドル円〜円安の本当の理由〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

為替市場で、ドル円が本日80円台に達するなど円安が続いている。10月19日レポートで紹介したが、今月末日銀が追加金融緩和に動くとの日経新聞の観測報道をきっかけに、市場で円安期待が強まっている。この円安が、最近の日本株の底堅さを支える大きな要因になっている。

2012年2月(バレンタインデー)に、日銀が金融緩和に踏み出し大きく円安が進み、日本株の大幅高が実現した。現状、欧州債務問題の落ち着き、米国などの世界経済の下げ止まり、などの外部環境において、いくつかの点で当時と似ている面がある。そうした連想が市場で浮上しているわけだ。

ただ、先週から続いている円安だが、多少は日銀の金融緩和期待が影響しているとしても、円安ドル高が進んでいる主たる理由は、別のところにある。それは、米国の長期金利の上昇である。10月17日レポートで、(1)景気見通しに慎重だった米債券市場で長期金利が上昇する兆しがあり、(2)米日長期金利差は拡大しているが、一方ドル円は70円台の円高が続き乖離がある、ことを指摘した。

グラフが示すように、先週末からの円安でドル円が80円台に戻っているのは、世界経済の安定を背景に先行して拡大した米日長期金利差に追いつく格好で、ドル高が進んだ面が大きい。仮に日銀の金融緩和期待が浮上していなくても、夏場から秋口にかけての株高・金利上昇が示唆する経済・市場の安定を背景に、80円程度の円安ドル高は十分説明可能ということである。


2月に日銀が、控えめながらも+1%のインフレ目標を表明した時、米日長期金利差が動かない中で、3月半ばまでドル円は83円まで円安が進んだ(グラフ参照)。日銀による金融緩和の強化で、脱デフレの時期が早まるとの期待が高まったためである。ただその後は、日銀の政策対応が従来から変わらず、脱デフレはかなり遠いとの失望から、ドル円は米日金利と連動する動きとなった。


以上を踏まえると、以下の2点が指摘できる。(1)仮に2月同様に、今月の政策決定会合を含めて、脱デフレの時期を早める強力な金融緩和に日銀が踏み出せば円安は更に進む、(2)2012年春先同様この思惑が期待外れに終わればドル円は米経済・金利次第の状況が続く、ということである。筆者は今の日銀の体制で強力な金融緩和が実現するシナリオに懐疑的だが、金融緩和に対する政治的な要請が春先よりも高まっているため、(1)への期待が年末頃まで続くと予想している。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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