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ミャンマー その投資ブームは本物か

困難を乗り越えミャンマー有数の製菓会社に成長
華僑に見る起業家精神と消費者市場攻略の肝とは

杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]
【第12回】 2012年10月25日
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今までは、日本企業の視点から、ミャンマー進出における論点を見てきた。今回からはミャンマー企業の視点で、ミャンマーでのビジネスの現状と、日本企業に対する期待感などについて見ていきたいと思う。

ひときわ目立つ近代的な工場
Photo:Japan Asia Strategic Advisory

 ミャンマーに数多くの企業がある中で、インタビュー先には、なるべくミャンマー企業の本音や、ビジネスの現況を聞き出せそうな会社を選んだ。従って、旧国営企業や政府により近い企業よりも、独自で現在の地位まで築きあげた企業を対象に、彼らの生の声を拾うよう努めた。国有工場の払下げで比較的有利な条件からスタートする企業の経営者よりも、徒手空拳で立ち上げていった創業者から話を聞いたほうが、人生ドラマとしても面白い話が聞けると思ったからだ。

Photo:Japan Asia Strategic Advisory

 今回ご紹介するのは、ミャンマーにおいてキャンディーをはじめとする製菓を製造販売するTin Ye Win Manufacturing Co.,Ltdだ。会長のYe Aung氏が1978年に菓子販売会社として創業し、1998年よりミャンマーで初めて菓子製造を開始。その後も拡大を続け、一代でミャンマーのトップレ ベルのキャンディー会社まで成長している。彼らの成長の過程を見ることで、ミャンマー企業側の視点からのビジネス環境を見ていきたい。

ないないづくしの中からの創業

 ヤンゴンから車で1時間ほど郊外の工業団地。建設機械の会社や、電機会社など、幅広い業種の工場が立ち並んでいる中、大型の輸送車両がひっきりなしに行き来している。その一角に、比較的新しい工場が忽然と現れた。2年前に建設された工場だけに、新しさが目を引く。今回は、会長と、彼の姪2人と甥1人の4名がインタビューに同席してくれた。

*  *

――まずは、ご経歴とこのビジネスを始めた経緯からお伺い出来ますでしょうか。

会長 私の祖父母が中国からミャンマーに移住しており、私はその3代目に当たります。私は8人兄弟の長男で、小さいころはとても貧しく苦しい生活だったのを今でもよく覚えています。私は高校を卒業する際に、学校での成績から大学に行く資格がありましたが、家計を少しでも助けるために、あえて大学には行かず、ヤンゴンで仕事を始めました。その時私は16歳でした。ヤンゴンでは、最初砂糖を販売する会社で勤めはじめ、酒屋や、他の食品関連の会社でも働きました。そして1978年、私が20歳の時に独立して、お菓子類の販売を手掛ける会社をはじめました。その後しばらく、菓子類をはじめとする食料品の販売を行っていましたが、1998年から自らキャンディーの生産を始めました。

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杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]

すぎた こういち/カリフォルニア大学サンタバーバラ校物理学及び生物学部卒。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)経済学修士課程卒。15年間にわたり複数の外資系投資銀行にて、海外進出戦略立案サポートや、M&Aアドバイザリーをはじめとするコーポレートファイナンス業務に携わる。2000年から2009年まで、UBS証券会社投資銀行本部M&Aアドバイザリーチームに在籍し、数多くのM&A案件においてアドバイザーを務める。また、2009年から2012年まで、米系投資銀行のフーリハン・ローキーにて、在日副代表を務める傍ら東南アジアにおけるM&Aアドバイザリー業務に従事。2012年に、東南アジアでのM&Aアドバイザリー及び業界調査を主要業務とする株式会社アジア戦略アドバイザリーを創業。よりリスク度の高い東南アジア案件において、質の高いアドバイザリーサービスの提供を目指してASEAN各国での案件を遂行中。特に、現地の主要財閥との直接の関係を生かし、日系企業と現地企業間の資本・業務提携をサポートしている。ミャンマーにおいては、大手事業会社、総合商社、金融機関等の進出戦略立案及びその実行サポートに携わる一方で、2012年よりダイヤモンド・オンライン(Diamond Online)にて、3年間にわたり人気コラム『ミャンマー その投資ブームは本物か』『海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線』を連載。


ミャンマー その投資ブームは本物か

民主化へ一気に動き出したミャンマー。政治体制の不安定さや民族間の紛争など、ミャンマー特有のリスクは依然として残るものの、欧米による経済制裁が解除されつつあり、世界中の企業が東南アジアの「ラスト・フロンティア」として注目している。現地では電力をはじめとした社会インフラに関する大型投資案件、工業団地の造成が急ピッチで進められている。日本企業も、成長の糧をミャンマーに見出そうと、熱い視線を注いでいる。しかし、ブームとなっているミャンマー投資は、果たして本物なのだろうか。ブームに踊り、現実を軽視した、拙速な投資へと急いでいないだろうか。現地取材を敢行し、冷静な目でミャンマーの現実をレポートする。

「ミャンマー その投資ブームは本物か」

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