東京五輪を開催すべき論理的な理由、「聖火リレー中止」に走る自治体の無責任三重県伊勢市の聖火リレーの様子 Photo:SOPA Images/gettyimages

新型コロナウイルスが第4波となって猛威を振るっている。オリンピック・パラリンピック(以下、五輪)の開催都市・東京にも3度目の緊急事態宣言が発令され、五輪の開催の是非があらためて問われている。五輪開催への反対論は高まる一方だが、感情的な主張が広がり過ぎている印象だ。開催の是非の議論は、感情的にならず、論理的に開催の問題点を整理して考えることが重要ではないだろうか。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)

ワクチン接種の遅さは痛手、
それでも東京が今年の五輪開催に最適

 日本が、本気で東京五輪を開催したいならば、実は「ワクチンの確保」こそ、万難を排してまず取り組むべきことだった。国民の大多数にワクチンを接種し、諸外国の五輪参加者にもワクチンを提供することが、五輪開催への「王道」だった。

 例えば、英国のワクチン開発・接種の戦略性、迅速さを見れば、世界最先端の研究開発の情報を的確に得て動いていれば、それは不可能なことではなかったからだ(本連載第271回)。その意味で、日本の政治家、専門家の怠慢、能力の欠如は厳しく批判されるべきだ。

 しかしながら、たとえワクチンがなくても、開催を妨げるとされる問題点を一つ一つ論理的に解決していけば、五輪開催は可能だと考える。

 現在、日本では新型コロナウイルスの「変異種」の感染が急拡大している。だが、世界的には、日本の感染者数・死者数は非常に少ない部類だ(参照:NHK特設サイト『新型コロナウイルス 世界の感染者数・感染者マップ』)。

 だから、客観的に見て、東京は、今年コロナ禍の中で五輪を開催する条件が世界で最も整っている都市の一つではないだろうか。逆にいえば、米国の都市、パリ、ロンドンなどでの開催は絶対に考えられないではないか。