10月の市場はやや明るさを取り戻した。世界経済にはまだ紆余曲折が想定されるが、ユーロ圏では、ECB(欧州中央銀行)が南欧国債の無制限買い入れの意向を表明し、市場の底割れリスクが後退した。中国は直近のGDP成長率が8%を割り込んだが、これを底とする見方が少なくない。米経済は、雇用はいま一つながら、住宅や小売りに明るい変化が見られる。

 世界経済がこの程度の底堅さを見せれば、市場では初夏までのリスクオフ機運が揺り戻し、じわりと円安が進むと示唆してきた。

 図で今年の為替市場を振り返ろう。昨年後半のユーロ不安を受けて、年明けの市場はリスクオフ一色だった。しかしECBが銀行への3年物融資(LTRO)を敢行し、金融システミックリスクが回避されるとの安堵に転じた。

 先行き不安を反映したユーロ、そして多くのリスク通貨の売りポジションは巻き戻され、2~3月に対ドルで上伸。一方、安全通貨として買われた円は、堅調な米指標や日本銀行のサプライズ緩和にも煽られて急落した。

 しかし、ユーロ圏の債務問題は何年も要する長期戦である。5~7月にはギリシャ選挙での緊縮派敗退に端を発して危機が再燃し、リスクオフに転じた。同時に、春から夏に米指標が低迷する過去2年のパターンは今年も繰り返された。米欧の景況悪化は中国など新興国の景況をも悪化させた。ユーロもリスク通貨も反落し、逆に円は反発した。市場では円相場は対ドル75円、対ユーロ90円割れもあり得るかの見通しが喧伝された。