「リスクはあっても撤退はない」

 昨今の日中関係冷却化により、政治だけでなく経済の分野でも、両国間のさまざまな軋轢、支障発生が報道されている。

 もっとも、だからといって「中国事業の縮小・撤退」「進出の取りやめ」という議論につなげるのは早計だ。ブリヂストン、セブン&アイホールディングス、イオンモール、ファーストリテイリング、ミニストップ、ローソン、ファミリーマート、しまむら、プレナスなどが、計画を大筋で変更しないと表明したように、(一部でスケジュールの組み換えなどはあっても)ほとんどの企業が中国への投資を引き続き重視しているのは事実だ。

 現地では「リスクはあるものの、この魅力的なマーケットからの撤退や事業縮小は考えていない。日本の状況もあるので、その方向性は変わらない」(アパレル企業の現地代表)という冷静な声が大半だ。

 RGF中国(リクルートグループの中国法人)は、中国に進出している多くの日系企業に対して人材紹介をはじめとしたサービスを展開しているが、クライアントの動きを集約して考えても、日系企業の中国への注力具合は今後もそれほど変わらないのではないかとみている。

デモの影響は限定的

 たしかに自動車をはじめ耐久消費財分野では、一連の反日運動による業績への影響が大きい。ただし、影響の大きな部分だけをクローズアップして今の中国を判断するのは、「木を見て森を見ず」だろう。