台湾をどう捉えるか――、改めて気づいた<br />東アジア安定へ重要度増す日中台関係「魚釣島は中華民国のものだ」と主張する広告が多く見られた Photo:DOY

「なんだ、この広告は!?」

 台湾の桃園国際空港から高速バスで台北駅に到着し、政府機関が密集している方向へ散策していると、目を疑うような“産物”が飛び込んできた。

「釣魚台是中華民国的」(釣魚島は中華民国のものだ)

 隣には「向国旗致敬」(国旗に敬意を表せ)という広告も並んでいる。台北市内では、台北駅付近と地下鉄内の数ヵ所で、台北市政府によって制作された広告を目にすることができた。

 10月10日は中華民国にとっての国慶節であり、台北市内には、私が過去二度訪れた時よりもあからさまに多くの国旗が掲げられ、立ち並んでいた。

桃源郷だと思える台湾

 10月16日~23日、尖閣諸島に関する国際会議に出席するために訪れた。会議は、中華民国外交部と国立中興大学の共同主催で、台北から高速鉄道で40分ほどの距離にある、台中にある同大学で挙行された。

 台北から台中への道中、初めて台湾版高速鉄道に乗ったが、スペースは日本の新幹線よりも広く、車内は中国の高速鉄道よりも静かで、快適であった。今回の旅を含めて、これまで台北、台中、そして東部の宜欄、花蓮しか行ったことがないが、個人的に、私は台湾が大好きだ。街を歩きながら、中華文明の包容力と人情味、そして当代日本が誇る先進性と制度基盤、これら双方を兼ね備え、市民社会の随所で有機的に体現していると感じられる。

 私にとって、台湾は桃源郷のような存在だ。正直、「老後は台湾で」、なんていう夢を抱いたことさえある。ぜひ将来、数ヵ月かけて台湾一周旅行を敢行し、そこで営まれる人々の生活をこの目に刻み込みたい。もし一定期間生活することができれば、最高だ。