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【特別寄稿】東京理科大学大学院イノベーションレビュー

日本の経営者に最も足りないのは
「現場に任せる勇気」である

伊丹敬之 [東京理科大学大学院イノベーション研究科 教授]
【第1回】 2012年11月15日
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あれほど強かった日本企業がなぜ――。半導体、エレクトロニクス産業の現状を見て、そんな思いを抱く人は多いだろう。この疑問を解くカギが技術経営(MOT)である。日本企業復活の出発点は、過去の失敗を正しく認識し、そこから学ぶ姿勢を持ち続けることだろう。今回、その学びを先導してくれるのが、東京理科大学大学院イノベーション研究科研究科長の伊丹敬之教授である。伊丹教授の誌上講義を、3回シリーズでお届けする。

エレクトロニクス産業に見る
技術経営の不在

 技術経営(Management of Technology)には「技術をベースにした経営」「技術開発活動のマネジメント」という2つの意味があります。かつては世界を席巻した日本の半導体、エレクトロニクス産業の惨状が影響しているのでしょうか、近年改めて技術経営への関心が高まっているように感じます。

 ここで言う技術は、開発技術や生産技術に限った狭義の概念ではありません。製造業だけでなく、サービス業においても技術は不可欠です。「何かをつくる上で必要な知識やノウハウの塊」が技術であり、それは企業を成長させ世の中を変える原動力でもあります。

東京理科大学教授 イノベーション研究科長
伊丹敬之

 その技術に対して、日本企業は真剣に向き合ってきたでしょうか。エレクトロニクスメーカーにまっとうな技術経営があったかというと大いに疑わしい。だから、まっとうな技術経営をしてきた企業に負けてしまった。ごく簡単に言えば、そういうことでしょう。

 プラズマの生産設備に巨額の投資を行い、その既定路線をなかなか転換できなかったパナソニック。世界戦略やデザイン戦略を軽視したシャープ。優秀な技術者の大量流出に有効な手を打てなかったソニー。これに対して、いくつかの韓国メーカーの行動の核には確かな技術経営がありました。

 サムスン電子が「ボルドー」という超薄型の液晶テレビを発売したのは2006年です。その名の通りワイングラスを思わせるしゃれたデザインで欧州を中心に大ヒットし、液晶テレビ事業の躍進を牽引しました。

 ボルドーの大成功を横目で見ながら、これを追いかけた日本メーカーはありませんでした。デザイン能力が足りなかったのか、そのデザインを量産するだけの生産技術が不足していたのか。あるいは、別の理由があったのかもしれません。

 日本メーカーはデザインではなく、あくまでも画質で勝負することにこだわりました。その1つの到達点が3Dテレビです。後知恵の批判はしたくありませんが、経営者は本当に3Dテレビが売れると考えたのでしょうか。どの程度まで本気で考えたのか、私には疑問に思えてなりません。

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伊丹敬之 [東京理科大学大学院イノベーション研究科 教授]

1969年一橋大学大学院商学研究科修士課程修了、72年カーネギーメロン大学経営大学院博士課程修了・PhD。一橋大学商学部専任講師、助教授などを経て、85年教授。一橋大学商学部長、同大学大学院商学研究科教授などを歴任後、2008年より現職。IT戦略本部、バイオテクノロジー戦略会議など政府関係委員を多数歴任。2005年11月紫綬褒章を受章。著書に『経営学入門』(共著、日本経済新聞社)、『経営戦略の論理』(日本経済新聞社)、『よき経営者の姿』(日本経済新聞出版社)、『経営を見る眼』(東洋経済新報社)、『イノベーションを興す』(日本経済新聞出版社)『本田宗一郎―やってみもせんで、何がわかる』 (ミネルヴァ書房)など。■東京理科大学大学院イノベーション研究科


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あれほど強かった日本企業がなぜ――。半導体、エレクトロニクス産業の現状を見て、そんな思いを抱く人は多いだろう。この疑問を解くカギが技術経営(MOT)である。日本企業復活の出発点は、過去の失敗を正しく認識し、そこから学ぶ姿勢を持ち続けることだろう。今回、その学びを先導してくれるのが、東京理科大学大学院イノベーション研究科研究科長の伊丹敬之教授である。伊丹教授の誌上講義を、3回シリーズでお届けする。

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