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既得権益への執着が疑われた
発着調整をめぐるJALの杜撰

週刊ダイヤモンド編集部
2009年11月10日
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 国を挙げて日本航空(JAL)再建策が模索されている最中、JAL関連会社のある“失態”が業界内で顰蹙(ひんしゅく)を買っている。

 騒動の舞台は国際線発着調整事務局。成田空港など混雑の激しい国際空港における国際線発着時刻の調整業務を行なっている機関だ。

 発着調整業務は1970年にJALに委嘱され、事務局はJAL本社内に設置、事務局長はJAL出身者が務めてきた。しかし、JALが仕切る運営体制では中立性、公平性、透明性が守られないとして、業界が反発し、2008年に第三者機関である財団法人日本航空協会に委嘱先が移された。現在、事務局は日本航空協会内に設置され、事務局長は国土交通省出身者が務めている。

 事務局のJAL色がようやく薄まりつつあり、今年8月には事務局システムの保守会社はJALインフォテック(日本IBMが51%、日本航空インターナショナルが41.5%出資)から独立系会社へ変更された。そして、問題が発覚した。新たに保守業務を任された会社が、事務局システムへの外部からの接続について、いくつかの問題点を発見したのである。

 特に問題視されたのは、JALインフォテックからルーターへのテルネット(遠隔地にあるコンピュータをネットワーク経由で操作するソフトウエア)のアクセスが可能な状態が、契約当時のまま残っていた点である。簡単にいえば、遠隔操作によって外部(つまりJALインフォテック)から発着調整システムへの接続が可能になっていた。

 故意に外部接続できる状態にしていたのであれば明らかな不正行為、設定変更を忘れたというのであれば、ずいぶんと杜撰である。

 「既得権益への執着ではないだろうか」。航空業界関係者は訝る。発着調整システムには業界内では長らく「ブラックボックス」とされてきた垂涎の情報が詰まっている。実害までには至らなくても、感情的に見過ごしがたいというわけだ。

 事務局を仕切ることは、JALの大きな既得権益の1つだった。航空会社にとっては需要の多い時間帯、乗り継ぎがしやすい時間帯の枠を獲得できるか否かが経営戦略上、重要だ。事務局は各社から希望のダイヤ、運航機材を聞いて全体のダイヤを調整する。従うしかない国内外の航空会社のあいだでは「なんで某社は参入時にあんなにいい時間帯で獲得できたのか」「発着枠は満杯のはずなのに、滑走路が空いているときがある」など、発着枠をめぐる話題は尽きない。

 海外の空港では滑走路の空き状況が随時確認できるなど、情報開示が進んでいる。開示が不十分なことに、日本の発着調整の根源的な問題がある。新政権の下で本格的な航空自由化が実行され、成田空港などの自由度が高まれば、今回の騒動もいずれ笑い話となるだろうか。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 臼井真粧美)

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