株式レポート
11月8日 18時0分
マネックス証券

3ヶ月ぶりの安値水準に急落した米国株 - 村上尚己「エコノミックレポート」

大統領選挙直後(11月7日)の米国株式市場は急落し、ダウ平均は300ドルを超える大幅安となった。大統領選挙当日(6日)は「不透明感払拭への期待」で大幅高、直後翌日には「財政の崖への懸念」で大幅安である。先週末(11月2日)に発表された雇用統計改善に対する米国株市場の反応が限定的だったが、このあたりからオバマ再選濃厚との観測が水面下で高まり、様々な思惑が交錯し株式市場が揺れ動き続けたということだろうか。

いずれにしても昨日の大幅安をうけて、ダウ平均株価は13,000ドルの大台を割り込み、ほぼ3ヶ月ぶり8月初旬以来の水準まで調整した。当時は、7月末にECBのドラギ総裁による「必要な措置は何でも行う」との言及で、安全資産として買われた米国10年債金利が大底をつけ、同時に米欧の株高に弾みがつき始めた直後である(グラフ参照)。


3ヶ月前は、欧州当局によるユーロ体勢を堅持する対応が動きだすとの期待と疑念が交錯していた。現在は米国の大統領選挙を終えて、経済安定化策の実現性に焦点が移る中で、「政治への不確実性」が再び強まったことで、3ヶ月ぶりの安値水準に逆戻りした、と位置づけができるだろう。

11月6日レポートで紹介したが、どちらが大統領になっても、今後ある程度の財政引き締めが想定され、これを取り巻く政治動向がリスク要因になる。今後2013年前半になると、所得増税の影響で米国の個人消費はやや減速するとみられる。ただ、米国政治が機能不全に陥らなければ、世界経済のトレンドを変えるほどの米経済失速をもたらす財政引き締めには至らないだろう。

政治への思惑で揺れ動いた米国株市場は3ヶ月ぶりの安値水準に調整したが、当時と現在で異なる点は、米国の経済指標の動きである。3ヶ月前は、世界経済減速を背景に、米製造業の企業景況感悪化に歯止めがかかっていなかった(グラフ参照)。一方、11月2日5日レポートなどで紹介したが、9,10月に、同指標を含めて、ほとんどの主要経済指標は下げ止まり改善に転じつつある。


「財政の崖」への対処は、クリスマスシーズンを迎えるまで事態が進展しない可能性がある。一方、9月に実現した米欧の金融緩和策による後押しなどを背景に、米国を中心に各国で景気指標改善が続くと予想される。2011、12年夏場と同様に、政治動向を巡る疑念に起因する市場のミスプライシングが、貴重な投資機会を提供する場面が訪れているのかもしれない。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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