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インキュベーションの虚と実

明確な意図の下に集いゆるやかに連携する
コミュニティを進化させろ!
女性起業家グループ「SPARK!」

本荘修二 [新事業コンサルタント]
【第14回】 2012年11月12日
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 東氏は奥田氏と出会った当時のことを思い出して言う。

 「BRIDGEではほんのちょっとの時間だったのですが、もう一度会ってみたいという感覚が残っていた。奥田さんのエネルギーを感じ取ったからだと思います」

 また、奥田氏はこう話す。

 「インパクトのあるうなぎのぬいぐるみと共に、東さんの存在は私の中に刷り込まれました」

 個性と生命エネルギーにお互いが反応したのだ。

 ちなみに、BRIDGEの特徴は二つある。まず、離れたものをつなぐことに注力していることだ。なぜなら日本では東京といえども、シリコンバレーとは違ってコミュニティはばらばらに分かれており、人のつながりも自集団や近しいところに閉じている傾向が強いからだ。

 もう一つは、参加者のキュレーションに注力していること。登壇者は当然だが、イベントに出席する人、つまり、“場”をつくる参加者をできる範囲で選択的に声を掛けている。

 ウェブやソーシャルメディアでの告知だけでなく、こうした地道かつ意思を持った努力が、参加者同士の化学反応を促進する。例えば、小生が東氏と出会ったTEDxTokyoは、招待制で参加者を選んでいる。

 なお、BRIDGEは“つながり”にフォーカスし、それ自体がコミュニティとして大きくなることを目的としていない。むしろ参加者が入れ替わるように仕掛け、BRIDGEを通してつながった人々やコミュニティからなるエコシステムの発展をねらった。

 偶然が生まれるベースをつくらねば、偶然はほとんど起こらない。これは発展するコミュニティをつくる基本と考えたい。

APECがきっかけで
直感に従って再会した二人

 話をSPARK!の生い立ちに戻そう。

 2010年に十数年ぶりに日本でアジア太平洋経済協力(Asia-Pacific Economic Cooperation = APEC)が開かれた。そのなかのAPEC女性リーダーズネットワーク会合(以下WLN)で、展示スペースが提供されることを聞きつけた東氏は、何か面白いことができないかと考えた。しかし、そのときに東氏が関わっている会社や組織ではそれはできないと思ったという。そこで、直観的に相談相手としてひらめいたのが奥田氏だった。

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本荘修二

新事業を中心に、日米の大企業・ベンチャー・投資家等のアドバイザーを務める。多摩大学(MBA)客員教授。Net Service Ventures、500 Startups、Founder Institute、始動Next Innovator、福岡県他の起業家メンター。BCG東京、米CSC、CSK/セガ・グループ大川会長付、投資育成会社General Atlantic日本代表などを経て、現在に至る。「エコシステム・マーケティング」など著書多数。訳書に『ザッポス伝説』(ダイヤモンド社))、連載に「インキュベーションの虚と実」「垣根を超える力」などがある。


インキュベーションの虚と実

今、アメリカでは“スタートアップ”と呼ばれる、ベンチャー企業が次々と生まれている。なぜなら、そうした勢いある起業家たちを育てる土壌が整っており、インキュベーターも多く、なにより、チャレンジを支援する仕組みが存在するからだ。一方の日本はどうなのだろうか。日米のベンチャー界の環境の変化や最新のトレンドについて、25年にわたってベンチャー界に身を置いてきた本荘修二氏が解説する。また日本でベンチャーが育ちにくいと言われる背景を明らかにし、改善するための処方箋も提示する。

「インキュベーションの虚と実」

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